《停念堂閑記》20
「停念堂寄席」20
「ぼやきはじめ」 (2017-01-11)
ようこそお越し頂きまして、まことに有難う御座います。
お寒い中を、わざわざお越し頂きまして、本当に感謝致しておりますよ。
冬になりますと、どうしても自宅に閉じ篭り勝ちになりますが、こうして、わざわざお越し頂くと言うことは、本当に有り難いことで御座います。
私も、精々頑張って、楽しんで頂ける話をと、思う次第で御座いますが、これが、中々難しいところがあるのですよ。
と申しますのは、人それぞれ個性と言うものがございましてね。当然好みが同じと言う訳には参りません。
たとえば、香川県の人たちの多くは、とにかく、ウドンが大好きのようですな。
讃岐ウドンですわ。
「うどん県」と名乗りを上げているようですよ。香川県民にとっては、すこぶる誇り高きカッコいい名乗りなのでしょうな。
大阪だと、やっぱりタコ焼きですかね。とすれば、名乗りは、「タコ焼き府」となるのですかね。カッコ、エーといきますかね。
それはともかくとして、香川県民のウドン好きは、端から見てると、大好きと言うか、もー、なかば病気、中毒のようですな。
出張で、3、4日もウドンにお目にかかれなかったりしたら、もー、ウドン欠乏症で、倒れてしまうらしいですよ。
そして、うわ言で、「ウドン、ウドン」と魘(うな)されるんだって。
お見舞いに行った人が、これを「ウド、ウド」と聞き間違いましてね。
そのうわ言の語尾の部分が、既に聞き取れないくらい衰弱していたものだから、「ウド、ウド」と聞こえたらしいのですよ。
そこで、デパ地下の食品売り場に飛んで行って、ウドの惣菜を買って来て、食べさせようとしたところ、「ン」の付いた方と言われちゃったとか。
そんなわけはありませんが、香川県の人は、とにかくウドンが好きらしいですよ。
「しすせそウドン」。? ? ?
「さ」抜きウドンですわ。
不意打ちを掛けて、申し訳ございません。
一方、関東の人は、ウナギに、目がない人が多いようですよ。
誰でも知ってますよね。あのグニャグニャ、ニュルニュルしたやつ。何考えて生きてるんだか、分かんないやつ。シャキッと出来ないのかね。
どうして、ウナギと言うのか知ってますか。
鵜匠を知ってますよね。鵜を使って、魚をとる人。
主に、アユを獲ったりしていますな。
ところが、鵜の中にもオッチョコチョイのがおりましてね。時に、グニャグニャした細長いやつを飲み込もうとするやつがいるらしいのですよ。
しかし、アユのようにスルリと飲み込むことが出来ず、吐き出す事も出来ず、えらく手こずるらしいのですよ。
要するに、飲み込めず、吐き出せず、えらく難儀するらしいのですよ。
この鵜が難儀する様を見て、このグニャグニャしたのを、鵜難儀と言う様になって、それが訛って、ウナギと言う様になったらしいですよ。
あのー、お客さん、そんなに頷かないで下さいよ。
こんな話、鵜呑みにしてはいけませんよ。ホント。
蒲焼きにする時、上方では、腹から開くそうですな。
大阪は、商人の町ですから、お互い腹を割った話が好まれるのですよ。
だから、ウナギも腹開きが好まれるのですよ。
あのー、鵜呑みにはしないで下さいよ。くれぐれも。
そこで、武士の大嫌いなもの。言わずと知れた、切腹ですよ。
いくら武士と言えども、痛いでしょうからね。
指に刺が刺さったくらいでも、痛い痛いと大騒ぎするくらいですから、お腹を切るとなれば、どれほど痛いことか。
私、失敗しないから、では済みませんよ。
だから、江戸では、腹開きを好みません。背開きにします。
エッ。背中から切られるのは、構わないのか、ですって。
いやいや、武士が背中から切られたとなると、これは、武士として、恥ですよ。油断していた、と言うことですから。
だったら、背開きだったて、ダメじゃーないかって。
お客さん。鋭いところ突いてしますなー。
しかし、ですよ。背中を切られた場合は、うまいこと、手当をすれば、命を落とさずに済むのですよ。
武士だって、命あってのもの種ですから。
これが、切腹の場合はどうなります。
名医がいて、手当して直しちゃったら、どうなります。命より大切な武士の面目まる潰れですよ。
あの浅野内匠頭が、手当の甲斐合って、生き延びちゃったら、赤穂四十七士、忠臣蔵の話はどうなっちゃいます。
だから、江戸では、背開きなの。
観音開きにしたら、どうだってですか。
それは名案ですね。観音開きのウナギの蒲焼きなんて。ちょっと、良いんじゃないですか。蒲焼きがね、ビロビロと伸びて来たら、なんか得した気になりますよ。きっと。
それは兎も角として、ウナギを焼いているとろから漂って来るあの臭い。もう、堪らないようですな。
しかし、ウナギの方は、お値段の方がね。こちらも、堪らないようですな。高くてね。
好きな人は、ちょいちょい出かけると、お金が貯まらないんだって。
と言うわけで、香川のウドン好きと、東京のウナギ好きと、大阪のタコ焼き好きのお客さんがお越しになった場合、三方の好みを立てて、ウナ重にタコ焼きをのっけてさ、それに釜揚げウドンをぶっかけたので、おもてなししたら、三方同時に喜んで貰えることになるでしょうな。
これは、もー、タマラナイでしょうね。どうでしょうね。
と言うような次第で、皆さん全員の好みに合うのは、なかなか無いのですよ。
ここは、民主的にと、お越し頂いた方々全員にアンケートをとりましてね。その上で、一番好みの多かったものについての話にすると言うの、どうでしょうね。
国会のようになってしまう、ですって。
もめるだけもめて、ろくな結果に治まらない、ですって。
そうですね。これは、結論的に言って、ダメですね。そんな手間掛けてらんないですから。
そんなことをしていたら、私の持ち時間無くなっちゃいますから。
民主主義は、とにかく、皆の意見を聞くとことから始まりますので、とにかく、手間隙がかかるのですよ。時間の制限がある場合は、現実的には、あまり上手く機能しないことが多いようですなー。
それで、結果的にどうなるのか、と言うと、早い話が、こちらで用意した話と言うことになるわけですよ。
と言っても、実のところ、特に用意したネタは無いのですよ。
用意されたメニューは御座いません。
まー、早い話が、お任せ、と言うやつですよ。
何が出て来るかどうか分かりませんよ。
行き当たりばったりの、その場の気まぐれって言うやつですよ。
好みなのが出たら、ラッキーと言うものですよ。
と言う訳で、何からいきましょうかね。
まずは、時節柄、正月の話題から行きましょうかね。
伝統的に、日本では、正月と言えば、モチと言うことになりますかね。
元旦の朝から、雑煮ですからね。
雑煮も、地方によっては、様々ですよ。
早い話が、ゼンザイですわ。甘い小豆汁の中に、モチが入ったの。
まさか、三つ葉を散らしたりはしないでしょうな。
これが、三が日のレギュラーだそうですよ。
鳥取は、いいなー。
何を隠そう、わたしゃー、ゼンザイ・お汁粉大好物。
三杯はおかわりしますよ。モチでも白玉でも。どっからでも、掛かってこい、ちゅーもんですよ。
エッ。私の好みは、どうでも良いから、話を進めろ、ってですか。
失礼致しました。
再びの出現になりますが、香川県。香川県の雑煮、知ってます ?
関西では、雑煮のモチの形は丸、関東では四角が、一般的のようですな。
エッ。だとすると、名古屋は三角か、ですって。まさかねー。
ところで、なんと香川県の雑煮餅は、餡子が入っているんだって。餡子餅。
さすがに、まめ大福ではないでしょうね。
形は、丸でしょうな。四角は、餡子入れ難いだろうからね。
余慶なお世話ですが、香川県の雑煮は、ウドンを入れればいいのにね。
それに、餡子餅を入れてさ。餡子餅力ウドン雑煮。これは行けますよ。きっと。
鳥取県の場合、餡子餅ゼンザイだと、ちょっと諄 (くど)い、ですかね。
餡子は、漉し餡の方が良いのでは、ってですか。やってみますか。
大阪の場合は、丸餅とタコ焼き雑煮になりますな。これは行けますよ。
まーるく、治まって、縁起がいいですよ。
ついでに、お好み焼きも乗っけようか。
お正月に、鳥取と香川と大阪と東京のお客さんが来た場合は、もー、お分かりですよねー。
餡子餅・ウドン・タコ焼き・ウナギの蒲焼き入りのゼンザイ雑煮で、おもてなしと言う運びになますなー。
なんだか、野党の選挙協力のように、グタグタになりそうですなー。
と、馬鹿話はともかくとしまして、今年も、正月早々に、餅を喉に詰まらせて、お亡くなりになられたお方が、いらっしゃいましたなー。
ご本人は、勿論、周りの方も、驚かれたことでしょうなー。
まさかねー。そんなこと、想定外でしょうから。
救急車を呼ぶことが、まず、先決でしょうが、到着する迄の処置が必要ですな。
まずは、吐き出させることですが、自力で出来ない状態の時は、外部からの力が必要となりますな。
下を向かせて、背中をトントン叩くことが、よく知られていますが、これが効果無かった場合は、あわてますよ。
口を大きく開けて、引っ掛かっているモチが見える場合は、無理矢理でいいでしょうから、指を入れて取り出せれば、急を凌げるかも知れませんね。
しかし、これらが出来なかった場合は、焦りますよ。
以前、こんな時は、一つの方法として、電気掃除機の筒を喉に突っ込んで、強引に吸い出すと良い、と言うことを聞いたことがありますが、どうなんでしょうね。
にっちもさっちも行かない時の一つの方法かも知れませんが、果たして、うまく行くのでしょうかね。
うまくモチを吸い出すことに成功したけれど、今度は、掃除機の方にモチが詰まっちゃうのではないか、と心配している方がおりましたが、どうしたものでしょうかねー。
とにかく、このような事態にならないことが、最も大切ですな。
お互い気をつけなければならないのは、モチろんですなー。
また、お正月と言えば、今でもそうでしょうが、以前は、一年で一番のイベントでしたね。
盆と正月は、大イベントでしたよ。
以前は、盆と正月の他には、3月3日のひな祭り、5月5日の端午の節句、7月7日の七夕祭り、9月9日の重陽の節句および各地の神社様のお祭りくらいが、大きなイベント的存在でしたが。
しかし、最近は、大げさに言えば、ほとんど毎日のように、何かのイベント。イベントだらけ、と言う感じがしませんか。
このごろ幾分気になっているのですが、イベントが多過ぎはしませんかね。
何かに着けて、イベントが行われていますよ。
はっと、気がつけば、日本の内需を引っぱっているのは、実に、イベントと言って良いのではないでしょうか。
内需の機関車、イベント号だね。
何かを目玉に、大勢の人を集める。これが、国内経済の活性化を図る、最も安直で、効果的な方法なのでしょうなー。
とにかく、公私上げてイベントですわ。
イベントの現場の付き物を知ってますが。
言わずと知れた、おベントとですよ。
これは、頂けないって ?
大谷投手だって、カーブすっぽ抜けることがあるのですよ。
アンタのダジャレと、大谷投手を比べるなって、ですか。
失礼しやした。
国も、地方自治体も、私企業も、とにかく、どんな手が効果的か、どんなイベントをうつか、頭を悩ましているようですな。
これで、内需は、急上昇。
目下、その最大の目玉となっているのは、言わずと知れた、2020東京オリンピックですわ。
まー、呆れ返るばかりですなー。
とにかく、責任体制が、明確に形成されていないように、見えてならないのですわ。
国(政府)、都(東京都)、組織委員会の三者が大きく関係しているようですが、この関係がどうなっているのでしょうかね。お互い独立しているのですかね。
分かるのは、どこも、できるだけ責任を負う存在ではありたくない、と言うことですな。
責任はとりたかねー。金は出したかねー。と言うのが、本音なのでしょうな。
責任体制が、ガラス張りにされていないから、何がどのように処理されているのかが、さっぱり分からないのですよ。
責任を取らなくて済む体制をつくっているなー、と言うことは良くわかりますが。
石原都知事が言い出しっぺで、オリンピック、最初の誘致に失敗しましたね。
多額の費用を使ったけれど、みごとに失敗。
どのくらい掛かって、誰が、何処が支払ったのか、知っていますか。
どんな失敗も、政治家の失政は、責任を取らなくて済んじゃうんだから。
植木等さん流だと、「政治家さんは、気楽な家業と来たもんだ」となりますなー。
かなり古いね。我ながら・・・。
続いて、猪瀬都知事の時に、誘致に成功しましたね。
この時も、どれほどの経費を投じて、どこが負担したのか、知ってますか。
全部、東京都の負担だったのですかね。国(政府)の負担は無かったのでしょうかね。
舛添都知事の温泉別荘への往来費用、これは、都が負担したのでしょうな。
ン ? これは、オリンピックと関係ないか。
国立競技場取壊し、再建の計画は、そもそも、誰、何処の責任で進められたのでしょうかね。
設計に関わるドジ。誰が、何処が、責任を取って、どのような負担がなされたのですかね。
追い打ちを掛けた、エンブレム作成に関わるドジ。
個人の好みで、恐縮ですが、さっぱり愛着が湧いてきませんな。
あのエンブレム。暗くて、地味で、細かくて。
あのエンブレムを見て、東京だ、日本だ、さー、オリンピックだ、と言うイメージが湧いてきますか ?
あのエンブレムから、おおくの日本人の大好きな、「元気を貰えた ?」気分になってますか 。
やり直しなぞしてさ。随分費用を投じた割には、どうだったのですかね。誰が、何処が、費用を負担したのかね。
これらの関係者の感覚、本当にどうなっているのでしょうな。
所詮、他人の金だ、と言う意識が見え見えな気がしませんか。
あのスーパーマリオの安倍さん。
誰が、何処で計画し、実行したのですかね。
随分多額の費用が掛かった、と聞いていますが、誰が、何処が負担したのか、知ってますか。
都知事ではなく、総理大臣がお出ましになられたのだから、当然、国庫が負担したのでしょうな。
東京都が、企画して、安倍総理に頼み込んで、出演してもらった、と言う事情ならば、都が負担したのですかね。
すっかり、お祭り気分で、幼児性丸出しの、大はしゃぎ。誰の金でやっているのですかね。
もしも、国庫が負担しているとすれば、国は大金持ち、気前が良いですなー。
余程、余分な金が余っているのかな。
まさかね。もう既に、返済不可能な大借金があるのでは ? ? ? 嗚呼。
どうせ返済は出来ないのだから、もー、破れかぶれってかー。嗚呼。
いくら借金があろうと、他人の金なら、じゃぶじゃぶと使える、と言う感覚の人がねー。大きな企画、実行の立場におさまっていていては、どうにもなりませんな。
責任体制が、明確にされていないんだから。
メディアも、一時は問題化して、あれこれ、何だか知りませんが、その筋の専門家と称するお方をゲストに迎えて、ああだ、こうだとはしゃぎますが、直に飽きて、面白そうな事件へと、行ってしまうからね。
トドメを刺して、一件落着には、ほど遠い存在ですなー。
まー、今年も、何かに着けて、気楽にいくより仕方ありませんかー。
かわいー。
いやされた。
元気をもらった。ってね。
おめでとう御座います。
正月早々お疲れさまで、御座いました。
今年も、どうぞ宜しくお願い申し上げます。
お後がよろしいようで。