《停念堂閑記》50

「停念堂寄席」41

 

《 お笑い“天国”》

 

〔分析編〕

 

いらっしゃいませ ようこそのお運びで

本当に よくいらっしゃいましたねー

他に 行く所はなかったのですか ?

北極とか

南極とか

これは ないですよね

寒いですからね 

パチンコ屋さんへは ?

余計な穿鑿は よせって

ごもっとも ごもっとも

毎度 バカバカしいお笑いで恐縮でございます

世の中 

ややっこしくって 

せせっこましくって 

鬱陶しいことが多すぎますなー

 

とかく ストレスが溜まりっぱなしですな

ストレスは 万病のもととか

とっとと 解消しておかないと 

とんでもないことになりますよ

ぼーっと 放っておいたら 

命を落とし兼ねませんよ ほんと

後で 落としたことに気づいて 

拾いに戻っても

もう 手遅れですからね

誰かに 拾われた後だったりして

拾った人が 古道具屋に売っちゃったりして

この間 浅草の古道具屋さんに 出てたんだって

とりあえず 買い戻して来たそうですよ

あのー 冗談ですからね これは

気が重い時には バカバカしいお笑いが一番

 

特に 特にですよ

ここは 良く聞いておいて下さいよ

特に

私の話は 特効薬ですよ 

とにかく よく効きます 絶品

誰も褒めてくれないので 自分で褒めておかなくてはね

‘お客さま’ 自分のことは 自分でやらなくてはダメですよ

他人(ひと)を当てにしていては ダメです

私の話を聞いたとたん たちまち どんな難題でも

‘何とか’なりますからね

‘何とか’は 人それぞれによりますよ

分かってますよね

自分のことは 自分で処理して下さい

今 言ったばかりでしょ

自分のことは 自分でやらなくてはダメ

他人(ひと)を当てにしていては ダメです

国は 何をしている

行政は 何をしている

なんて言ってみたところで 全然 当てになりませんよ

馬耳東風

馬の耳に念仏

国 行政は 聞く耳を持たないからね

ところで なんで 馬なのでしょうね

馬は 言うことを良くききますよ

馬でなくても良いだろうに

キリンだって

キリンは ダメか

首が長くて 耳が高か過ぎるか 

ついでに 噺家は 何をしてるって

噺家は 落語をやってますよ

毎度 バカバカしいのを 

それを 毎日ですよ 1年中

他に なんにも出来ないのですから

因果な 商売ですなー

普通 バカなことばっかり言っていると 叱られますよ

それが 落語の場合は 

バカバカしいこと言わないと バカにされるのですよ

バカなことを 上手に言うと

なんと 文化勲章を貰えることがあるのですよ

文化勲章を貰うと 文化功労者となりましてね

生涯年金が貰えるのですよ

知ってました

国民の税金からですよ

バカ言って 税金貰えるんですよ

世の中 どうなってるんですかね ほんと

あのですね

バカなこと言うと 文化功労者になれるのではありませんからね

話しの仕方が 人並みはずれて 上手で その芸術性を評価されて

日本文化に貢献した と言うことで貰えるのですからね

間違えないで下さいよ そこんところを

因みにですね 文化勲章の受賞者の殆どは 裕福な生活をしている方々ですわ 

生活に困っていると言う事情の方はあまりね・・・

そして 殆どが人目につくパホーマンスをしておられる方々のようです

底辺でこつこつと 地味な仕事をしている方々は 

どうも見出されないようで いささかね・・・

生涯年金支給については 憲法解釈上 問題ありとする意見を持つ方も 

多くいらっしゃる様です

国家財政に関する赤字・借金が膨大になっている現状ですからね

‘天国’では どのように取りはからえば 良いのでしょうか

   

と言うわけで 何だか分からなくなってきましたが

自分のことは 自分でやらなくてはダメですよ 

シャキッと 自立しなければいけません

サー 今日も しまっていきましょう

今日の‘お客さま’は ラッキーですよ

ピンポーン 大当り

今日は 特別 とっておきの話を致しますから

ここだけの話ですけどね 

実は 昨日も このように 言いました

ええ このところ ずーっと言っています

明日も言いますからね

覚悟しておいて下さいよ

 

‘お客さま’

私の話を聞いたら 幸せになりますよ

今日 ここにいらしていない お隣さんより

ズーッと 幸せになりますから

間違い御座いません

たちどころに 昇天しますから

エッ いきなり昇天かって

その通りなんですよ 幸せの極みですから 

もう‘天国’へ直行ですよ

終点 ‘天国’‘天国’ なんちゃってね

足下にお気をつけ下さい なんて

シャニムニ降ろされてしまいますからね

‘天国’へ行ってしまえば もう こっちのものです

ストレス 一切なし

嫌みな上司もいない

借金取りもいない

足腰の痛みもない

痔も痛くない

小うるさいカカーは留守 〈これは男性版〉

邪魔臭いジジーは留守 〈これは女性版〉

よし 昼飯は 特上寿司をとるかな 

ウナギにするかな なんてね

良いことずくめ

良いことばっかりで もう タマリマシェーン てなもんですよ

ところで ‘天国’って 一体どんなんなのでしょうかね

‘お客さま’ 

‘天国’についての知識を どれだけお持ちですか

これがね ちゃんと分かっているお方は すごく少ないのですよ

たとえば ‘天国’の自然はどうなっている と思いますか

空模様について

風が吹くのでしょうかね 

雨が降るのでしょうかね 霰も 雪も

台風は 地震は 津波は どうなっているのでしょうかね

エッ ‘天国’に 地震津波は似合わないって

そう願いたいものですね

夏・冬はあるのですかね

‘天国’は 常夏だって

常夏は 良いですね

しかしですよ

それでは 北極から来た 白熊はどうなります 

南極ペンギンだって

えらい事ですよ 

たちまち 熱中症になってしまいますよ

‘天国’まで 救急車が駆けつけるは なかなか大変ですよ

‘天国’の衣食住の事情を知っていますか

どんな服装をして

何を食べて

どこで寝起きするのですか

なに

水着で

フランス料理のフルコースを食べて

椰子の木陰で ハンモックで寝ている 

そりゃー 結構でございますなー

しかし ですよ

水着で スープをおヘソに こぼしちゃったら

それは それは ダイレクトに 熱いですよ

ヘー ソー なんて言っている場合ではないですよ

だいたい 毎日 フランス料理のフルコースやってたら どうなります

もう メタボ メタボ メタボの三階建てになりますよ

おヘソだつて 大きめのホタテの貝柱くらいにはなりますよ

そこに 熱々のスープをこぼしてご覧なさい

それは モー 熱くて 熱くて

半熟の程よい食べごろになりますから

チョト 方向が逸れたか 

なにせグルメなもので

そんな 状況で ハンモックの紐が絶えきれなくなって

ブツッン ドスーン と落っこちて

腰をしたたか打って 喘いでいるところに

アフリカサバンナからやって来た

ライオンが現れたらどうします ‘天国ライオン’

ライオンだって ‘天国’好きですからね

来てるんですよ

たちまち 餌食になってしまいますよ

こんな最も基本的なことを知っている人は 殆どいないのですよ

そのくせ 俺は 私は ‘天国’へ行くのだ

なんて 能天気なこと 思っている方が多いようですよ

‘天国’の実態を何も知らないで

行って びっくり こんなはずでは

なんて 言ったって もうダメですからね

まず ‘天国’の実態を見極めて

その上で 行くか 止めるか 決めた方が良いですよ

この《お笑い‘天国’》と言う噺はですね

実は 3部作なのですよ

初めに [概説編]と言うのをおいてですね

ここでは ‘天国’について 世間でどのように思われているのか 

と言う点を 大雑把にまとめています

次に [分析編]と言うのをおきましてね

ここでは [概説編]でまとめた事柄を 

幾分具体的に検討しています

問題点などを 幾分指摘しています

そして 最後に [形成編]と言うのをおいてですね

未だ具体化が遅れていると思われる‘天国’の主な事柄を

面白く具体的に形成する部分となっております

なお 一言申し上げておきますが

この噺は あくまでも お笑いですからね

あまり 本気にならないで下さいよ

ご自分に 不利だなー 

こらー 不謹慎にもほどがあるぞー

無礼者め! 

なんて 思っても 気になさらないで下さいよ 

どうぞ 寛容なお気持ちで かーるく 笑い飛ばして下さいませ

人間は ご都合主義の固まりですからね

とにかく 発想のスタートが

万事 自分の都合によってますからね

全員に 納得してもらえる 環境づくりは とても 困難なのですよ

笑って 誤摩化しましょうね 

くれぐれも お願いしますよ

では参りますよ 

心の準備は 宜しいですか

今日の噺は [分析編]でございます

前編の[概説編]で

世間で思われている‘天国’の要点を

大まかに まとめて見ましたところ

‘天国’は 死んでから行くところらしい

‘天国’は 空の遠く彼方にあるらしい

‘天国’では‘神様’が 万事うまく取りはからってくれるらしい

‘天国’には 割合簡単に行けるらしい 

と思い込んでいる人が多い 

と言うようなことでした

あとは それなりに 色々と 気にかかることはありますが

取り敢えず これくらいの要点を確認しておけば 

‘天国’のイメージが 幾分はっきりしてきたのではないでしょうか

さて ‘天国’のおおよそのイメージが出来たとしても 

まだまだ はっきりしていないことが 

いっぱいありますよね

すなわち まだまだ 具体的ではない 

と言うことですよ

具体的にすると言うことは 

もっと深く検討を要すると言うことにほかなりません

問題点を分析しなければなりません

例えば

〈‘天国’は 死んでから行くところ〉

と言うことについても 中々難しいことが絡んでいますよ

下手に手出ししたりすると 厄介なことになり兼ねませんよ

‘死とは’ 

なんて事に ひっかかったりしたら 収集がつかなくなりますよ

人間は いずれは 死亡します

お生まれになったばかりの赤ちゃんに

こんなこと申し上げるのも なんですが

いずれは お亡くなりになられるんですよ

大事に 手入れして 直し直し使えば 

80年くらは なんなくもちますからね

ひと昔前までは 人生50年 なんて言われていたのですよ

それが 今は 100歳以上の方が ざらですからね

100は 50の倍ですよ

分かってるですって それっくらいの算数はできますって

私だって これくらいの算数は 出来ますよ

何とか 両手で間に合いますからね

これが 最近 100を超えると ちょっと 危なくなって来たのですよ

でも 心配いりません

電卓がありますから

ちょちょいのちょい とキーを押せば 事済みますから

パソコンだってね もう キーを押さずに

クチで言えば 良いのがありますからね

「ほかほかの肉饅食いたい」と言ってやったら

パソコンのヤツ なんて言ったと思います

「自分で買え」だって

 

冗談ですよ そこまではねー

でも 売っているコンビニを ちゃんと教えてくれましたよ 

話を戻しますが

人間は いずれは 死亡します 

どんな高貴なお方でも 大金持ちでも それは避けられません

早いか 遅いかの違いはありますが

多くの方は 長生きを希望しているようですね

しっかりした目的を持って 長生きしなくては と思っておられる方も

もちろん いらっしゃいます

生涯現役なんてね 頑張っておられる方がいますよ

この寄席に いらしておられるお方々は

生涯 寄席に通ってやる 

たとえ どんなに面白くもない 

ヘボな噺でも 居眠りしてでも聞いてやる

と言う崇高な それはそれは立派な目的をお持ちのお方々でございます

昔から 「継続は力なり」 と申しますから 

よろしくお願い致しますよ

明日も 明後日も ずーっと お待ちしておりますから

絶対成功しますからね 間違いございません

私が保証致します

ン! それが 一番信用ならないって

そんな事ありませんよ

 

落語ばっかり聞いていて 落伍者になった方がおられるって

それはね そのお方の方法論が まずかったのですよ

どなたの落語を お聞きになられたのですか

ひょっとして 私の噺を聞かなかった方ではありませんか

私の噺を聞いていない方は はっきり言って 

ダメです 絶望的ですよ

何の保証も出来兼ねますよ

その点 今日の‘お客さま’のように 

私の噺をお聞きになられたお方は 

もう大丈夫です

お亡くなりになられるまで 必ず 命の保証は致しますから

間違いございません

ところで 何の話をしていたのでしたっけ

そうそう ‘死とは’の話でしたね

実に深刻なことです

私なんか 「お前は死んでいるのと同然だ」と言われたこがありますよ

余計なお世話ですよ まったく

他人(ひと)の命を 勝手に管理するなっちゅーの

以前にですね

ご病気の方のお見舞いに行ってですね

「気をつければ まだ 5年はもつから」と 

元気づけようとされてた方がおられたんですよ

そうしたら 俺の命に 期限をつけるな

と言うことで 大喧嘩になったことがあったんですよ

他人(ひと)の命を 勝手に管理するのはいけませんよ

言葉には 気をつけましょうね

ところで

どのような状態になれば‘死亡’と言うことになるのでしょうかね

中々難しい問題ですよ 

例えば

脳死’なんて言う問題もありますよ

心臓は動いている 

人工呼吸機を装着させれば 呼吸している状態が保てる

ただし‘脳’の機能が停止したのではないのか 

と言う状態になった時に 

それなりの資格があるとされている医師が 数名で診断して 

この‘脳’は回復の見込みがない と判断した場合に

この人は 死亡した と言う扱いになるやつですよ

心臓が動いていて

息もしていて 

触れば体は温かい

髪も髭も爪も伸びる状態にある

そんな人を 死んでいると判断されても

素人には分かりにくいところがありますよね

特に ご家族にとりましてはね

生きているけど 死んでいる と言われた気がします

ケンシロー みたいになってますよ

「おまえは すでに死んでいる」 なんてね 

漫画の世界だとは 言ってらんないですよ

脳死’と判断する医師達は 慎重の上にも 慎重を重ねて 

判断を下すのでしょうから

万に一つの誤りはないのでしょうが

いやいや 万に一つあっても ダメなのですよ

絶対でなくてはね 絶対皆無でなくてはね

だけれどもですね 不安に感じられるのは現実です

言っちゃーなんですがね 正直なところ

所詮 人間のすることですからね 

判断ミスは 皆無とは言い切れない場合も 

可能性としては 残っているのではないのかなー 

などと考えると 難しい問題ですよ

原発に 事故 故障は起きない なんて

国家を上げて 信じ込まされて

ころっと 騙された経緯もありますからね

将来 脳医学がさらに進歩して 

現在の‘脳死’状態から 蘇生させる技術・薬・機器などが 

開発される可能性も皆無ではないだろうし

そうすると 今の‘脳死’の状態は 死亡ではない 

と言うことになる可能性も残されていないわけでもないのですよ

昨日までは 死亡であったが 今日からは死亡ではない

と言う日が 何時か来たりして

今は そのような技術・薬・機器などがないから 仕方がないさ 

と言う考え方が主導的なのでしょうが 

これが 宗教的な判断による‘死’についての考え方などを問題にしだすと

‘死とは’ということは 

これは難しい問題ですよ

ワケが 分かんなくなりますよ 

バカ言って 笑っている場合では ないですよ

どうです 大分暗い気分になって来たでしょ

大丈夫ですか

これはね これはお笑いの中での話ですからね

あまり 深刻になりすぎませんように 

お願い 致しますよ

 

危険地帯には 近寄らない方が 無難ですね

くわばら くわばら 君子危うきに近寄らずちゅーうことですね

ここでは あっさりと

‘天国’は 死んでから行くところ

と言うことで 手を打つことにした方が良いようですな

よし まとまりましたよ

四の五の言わず

〈‘天国’は 死んでから行くところ〉に決定しました

しかし ですよ

死に関連して どうしても 触れない訳にはいかない点が

幾つかあるのですよ

「人間死んだらどうなるの」 

と言う最も厄介な問題ですよ

この課題は避けては 通れないのですよ

これを 明確にしておかないと

‘天国’についての話の展開上ね

死んで‘天国’に来た人の存在の仕方が 

具体的にならないのですよ

そんなの 死んじまったら 一巻の御終いよ だって

それを言っちゃ御終いよ 

そりゃー 死んじまったら 一巻の御終いですよ

その通りでございます と言う他ないですよ

 

となっては ‘天国’の話はどうなりますちゅーの

こっちだって 一巻の終わりになってしまいますよ

話すことが なくなってしまいますから

さーさー お帰りはこちら になってしまいますよ

それでは ダメだめでしょ

何言ってんだよ

死んだら ‘天国’へ行くと決定したばっかりではないのかって

そうなのですよ

ここで問題なのは 

‘天国’へどのような状態で行くのか と言うことですよ

一巻の終わりの方は 次元の違う性格のものだから 

そちらは さておいて

いわば 娑婆から あの世へ引っ越すと言う話ですよ 筋としては

仏教の場合は どうなっているのかと言うと

死んだら 三途の川がありましてね

これを渡ると あの世 と言うようなことらしいですよ

まだ 行ったことないですが

死んだら 三途の川を渡って 

あの世に行くのだと言うことが 良く言われます

本当なのですかね

また 死んだら 閻魔樣の所で 

お前は ‘極楽’へ行け とか

お前は ‘地獄’に落ちろ とか 

判決が下ると言うようなことが 良く言われていますよ

なんでも 閻魔帳とか言われているものを持っていて

それに 死んだ人の生前の一部始終の行状が全て記されているとか

それを元に 取り調べを受けて 

嘘を言うと舌を抜かれるとか 言われていますよ

抜いた舌は どうするんですかね

牛タンなら ともかくね

くれぐれも お笑いですからね 念のために

取り調べの上

その結果 極楽行き とか 地獄き と言う

パスポートを発行してくれるらしいのですよ

閻魔樣の権力の根源は 何なのでしょうね

なんの資格が有って お前は‘地獄’ お前は‘極楽’

なんて言えるんでしょうかね

知ってますか ‘お客さま’ 

閻魔様の正体を

一説に 地蔵菩薩化身だとも 言われているらしいですよ

地蔵様が 「ヘンシン」の掛け声とともに

怖い 怖い 閻魔様に化けるんでしょうかね 

閻魔様とお地蔵様では えらく印象が違いますけど

なんと コンニャクが大好物なんやて

あの強面で グニャ グニャのコンニャクをねー

そのあたりは どうなっているんですかね

それは ともかくとしまして 

閻魔様は 三途の川の向こう岸にいるのでしょうな

とすると 場合によっては 三途の川べりに たどり着いた時

渡るべきか 取りやめるべきか 迷う場合もあり得ますな

ヒトによっては

迂闊に渡って 閻魔様に 

お前は‘地獄’へ落ちろ 

なんて言われたら と心配になる方もおられるのではないでしょうか

なに 心当たりがあるって

冗談ですよ 冗談 お笑いですから

どうしようと グズグズしていて 足を踏み外し

この段階では まだ 足はあるのでしょうね

いみじくも ジャッポーン 川に落っこっちゃって 

溺れ死んでしまっては えらいことですよ

三途の川で溺死でもしたら どうなります

あの世には たどり着けないだろうから 

この世に戻ってくるより仕方がないのですかね

でも 基本的には この世では 死んじゃってますからね

三途の川で溺死しちゃたなんて おめおめと家に帰れませんよ

迂闊に帰りでもしたら 

遺族が遺産配分で大喧嘩している修羅場だったりして

目も当てられませんよ

だから 家には帰らず 

壊れかけた廃屋や廃校に住み着くことになるのですかね

そしたら テレビ番組で取り上げられ 

心霊スポットだなんて 

リポーターが 除霊の祈祷師なんぞを引き連れて 

夜中に 取材に来るのですよ

‘カー’ ‘トー’ だか 何だか 

やたら大声を張り上げて 除霊とかするんですよ

葬儀の時に 

司会者が 「安らかにお眠り下さい」 なんて言っていたけれど

喧しくて 寝てられませんつーの

あんたら 悪魔かー 

まったく たまったものではありませんよ 

本当に 余計なお世話だっちゅーの

お客さん 笑ってられませんよ

明日は 我が身と言うこともありますからね

それが 一言多い お節介ですって

御もっとも 相済みません

うまく ‘極楽’へ行けと言われた場合は どうなるのでしょうかね

浄土教の場合は 阿弥陀様がお迎えに来るのだとか 

聞いたことがありますな

と言うことは 三途の川の向こう岸に 

閻魔様の裁判所があって

‘極楽’行きの判決を受けた人が 屯している

その辺りに 阿弥陀様がお迎えに来てくれるのですかね

何番乗り場とか 決まっているのですかね

間違えて ‘地獄’行きホームに行っては ダメですよ

以前に ‘天国’と似通っていると思われる

‘極楽’ ‘極楽浄土’について 

ちょっと関心を持ったことがあるんですよ

‘極楽’は どんなんかなー と思っていたのですよ

そうしたら どなた様であらせられましたか 失念してしまいましたが

テレビで とあるお坊さまが おっしゃっておられたのですよ

「‘極楽’では 日々 阿弥陀様の下で仏教の修行に励むのです」と

これを聞いて 正直なところ 私はガックリきましたね

‘極楽’が‘地獄’に大変身ですわ ほんま

とたんに ‘極楽’行きを 取りやめるはめになったんですよ

‘極楽’では 毎日毎日 仏教の修行に励まなくてはならないのですよ

因に 私の家は 禅宗 曹洞宗なのですよ

福井永平寺が本山ですわ

永平寺での修行は はっきり言って 厳しいものでっせー

日の出前から 日が落ちて就寝するまで 

厳しい戒律満載の修行ですわ

‘極楽’へ行ったら この毎日でっか

本当なら たまりまへんで ほんまに

‘お客さま’ 簡単に ‘極楽’に行くなんぞと夢見てたら

そりゃー えらいめに あいまっせー

行き先の事情を ちゃんと見極めておかないとね

ところで なんの話をしていたのでしたっけ 

余計な事いっていたら また 失念してしまいました

ああ そうそう

娑婆から あの世へ引っ越すと言う話でしたね

だったら パンダマークの引越屋さんを頼めばってか

そっちへ行くと また話がそれますよ

娑婆から あの世へ移る時の事として

はっきりさせておかなくてはならないことが 幾つかあるのですよ

例えば

死んだ後の姿ですよ

三途の川とか 閻魔様の裁判を受ける設定では

死後の姿は 生前と殆ど変わらないように思われますね

足の有無は 定かではありませんが

ところが 幽体離脱というのでしょうか

死んだら 霊魂が 死体から抜け出すのだ 

と言うようなことを言われる方も いらっしゃいますよ

私は よくは知りませんが

離脱したのを幽体と言うのですかね

これは どんな姿をしているのでしょう

この世の人には 見えないのでしょうか

それが 何かの拍子で

人魂(ひとだま)と言われたりする形で 

この世の人に 見えたりするのでしょうかね 

分かりやすく言えば 火の玉のようなものなのでしょうかね

火の玉も 映画でしかみたことありませんが

これらの点を 具体的にしておく必要がありますよ

火の玉の形で ‘天国’に来るのであれば

それはそれなりの備えが必要ですからね

燃えやすい物は 片付けておくとか

消防の設備を念入りにしておくとか

うようよ 沢山集まっているところは 明るいだろうから

外灯の設置は不要とか

大体 個体の識別が難しいですよ

類似しているので 誰が誰だか 見分けにくいですよ

沢山集まっている場合は 

あの火の玉は ○○さん

あれは △△さん

こっちは ん ・・・ ?

あっちは ん ん・・・ ?

なんて 見分けがつかなくなりますよ

それとも 死んだ時のままの状態で あの世に移るのですかね

はたまた 生まれ変わるのか という問題もあるのですよ

死んだ時の状態で あの世に移る と言うことを前提にする場合と

生まれ変わる と言うことを前提にする場合では

‘天国’での様子が 随分変わる可能性がありますからね

死んだ時のままの状態だとしますと

例えば ‘天国’の年齢構成がですね

若くしてお亡くなりになられる場合もありましょうが

やっぱり お年を召してから お亡くなりになる場合が

圧倒的に多数なのでしょうから

とすると ‘天国’は すこぶる老人が多い状況ですよ

どっちを見ても ジジ ババ ばっかし

圧倒的 高齢者社会ですわ

年金 介護 高齢者医療 など どうなります

若い者は それはそれは 

ずっしりと負担を課されることになりますよ

そんなことになれば 

‘天国’に来る若者がいなくなってしましますよ

これは 困った事態になりますよ

とすれば 生まれ変わることを前提にした方が良いですかね

生まれ変わるとする場合 

性別が問題となりますよ

男 女 の他に 

男女 女男もありですかね

最近は 性別が 複雑になってますからね

年齢は 赤ちゃんから出発することになるのですかね

85歳で死んでも

‘天国’へ行ったら 生まれたばかりの赤ちゃんになるのでしょうかね

‘天国’1才 なんてね

その場合 親はどういうことになるのでしょうか

人工授精の場合は ややもすると 

ややっこしい 問題が発生することも想定されますからね

生まれ変わって 赤ちゃんになる場合は

当然 人格も 変わってしまうんでしょうね

生前の記憶は なくなってしまうのですかね

名前は 誰が付けるのでしょう

役所に 出生届けが必要なのですかね

大体において ‘天国’には 家族と言うのがあるのですか

それとも 好きな年齢を選べるのですかね

100歳で死んだ おばあさんでも

私は ピチピチの二十歳だよーん なんて

また 年を経ると 年齢を重ねることになるのですかね

原始時代に ‘天国’へ来た方は もう数えられないぐらい 

ものすごいお年寄りですよ

それとも ‘天国’では年を取らないのですかね

好きな年齢を持続させることが出来るのですかね

何時迄も ピチピチの二十歳のお姉ちゃんだよーん なんて

これらの点をも 明らかにしておかないと

‘天国’の状況がはっきりしないのですよ

厄介な問題ですよ

次に

〈‘天国’は 空の遠く彼方にあるらしい〉

と言う点についても 分からないことが いっぱいありますぞ

まずは ‘空の遠く彼方’とは 何処か と言うと

方向はいいですよね 

要するに 地べたと反対方向ですわ 

手っ取り早く言えば 上方向と言うことです

きっと 科学的には 宇宙と言われているところですね

宇宙の大きさについては 

止めといた方が良いですね どうせ ワケ分からなくなるだけだからな

半端な数値ではないですからね

両手 両足をつかったって 到底間に合いませんよ

孫の手 猫の手を借りても無理だね

とにかく でかい 広い 

東京ドーム 何個分なんて 言ってらんない広さですよ

そこに ‘天国’があるのだから これも規模がでかいよ きっと

それから 形状の問題がありますよ

どんな形してるのですかね

平べったいのかね 

角張っているのかね 

それとも丸いのかね

これも 理屈をつけて 納得のいく 形状を考えなければなりませんよ

問題は 距離ですよ

成層圏のズーッと向こうかな

成層圏は たいした距離ではないですからね

地表から10キロ~50キロほどらしいから

近いところだと エベレストの1000メートルほど上と言うことですね

三浦さんなら 歩いて行ってしまうかも

旅客機の飛ぶ付近ですよ

この間 飛行機に乗ったけれど 

‘天国’らしきものは 見えませんでしたよ

車でなら 時速40キロの安全運転で 15分もあれば着いちゃいますよ

信号はあるのかね 

高速を使えば 5分ちょっとでいけるな

遠いところでも

時速200キロの新幹線で 15分もあれば行っちゃうよ

こんな近くでは 有難味がない と言うもんですよね

月ぐらいだとどうかと言うと 

だいたい35万~40万キロほどと言われているから

スピードアップして 時速300キロの新幹線では

1300時間 56日ほどかかりそうだな

2ヶ月近くかかると 途中 相当退屈するな

トランプとか 将棋などを持っていった方がいいな

麻雀牌も持っていくか

まてよ 

マージャンは 4人いないとな

そんな都合良く メンツー揃うかねー 4人そろって ホックリとね

スマホのゲームも良いけど 料金相当かさむな

一層のこと ウイスキー飲んで 寝ちゃうか

 

新幹線だと ちょっと時間掛り過ぎるな

旅客機にしよう

ジャンボジェット機だと その時の気象条件にもよるけれど

東京 ホノルル間 6200キロを 7~8時間で飛ぶそうだから

だいたい時速850キロぐらいのようだな

これだと月までは 470時間ほどで行く勘定だ

20日もあれば 行けそうだな

でも 旅客機20日間は ちょっときついか

全員 エコノミークラス症候群になってしまうな

‘天国’ どこに 建設すれば良いのだ

えらいことですよ

この問題も 納得のいくように 説明が必要になりますよ

また 景色ですよ

‘天国’と言うと 空の上だ

とすると 雲ばっかりかー

まー 雲にも色々あるから 多少は 格好がつくかなー

しかし 雲ばっかりと言うのもなー

ちょっとなー

だいたい 晴れてしまったら どうなる

雲なんか 一つもないよ

快晴になったりしたら

何にもない と言うことだよ 

何にもない風景と言うのは ちょっと 頼りないなー

何にもないところに

‘天国’人が ぽろぽろと 浮かんでるんか

なんか 不安定で 落ち着かないなー

とにかく 広いんだからなー

家の庭を ちまちまいじっているのとは わけが違うぞー

景色は 思いっきり雄大な方がいいなー 

とにかく 土地の心配はないんだから 

しかし この世にはない ‘天国’特有の風景となると 

どんなんかなー

全くこの世にはない 見たこともない風景となると 

見当がつかないな

なんちゅったって ‘天国’ですからね

みんなが 心休まる ‘天国’らしくなくてはねー

この点についても なんとか具体的にしておかなくてはねー

それから 何と言っても

‘天国’での生活が どのようなのか と言う事が気に掛りますねー

例えば ‘天国’では

衣食住の事情はどうなっているんでしょうか

まず 衣服の事情ですが

‘天国’へ行ったら 衣服は この世で着てたものなのですかね

最後の着物は 通常死の場合

仏教の場合は やはり 三角巾を頭に着けて 

無地の白い浴衣みたいなスタイルなのですかね 

考えてみりゃー 誰が編み出したのか 知りませんが

素っ気ない ケッタイな ファションでんなー

現代人の好きな おしゃれじゃないですよ

あのようなのを着せるから

足下が涼しくなって

結果的に 足が無くなってしまうのですかねー

最後なのですからねー

もっと なんとかならないものですかねー

白の無地ではなくてさー

せめて レンゲの花模様だとかさー

森英恵のチョウチョウなんか ちょっと派手かね

‘天国’で 三角巾と白無地の浴衣では 

ちょっとかわいそうですよ

事故で お亡くなりになった場合は 血だらけのままなのですかね

入浴中に お亡くなりになった方などは スッポンポンですよ

こんな姿で‘天国’の繁華街を闊歩しているとしたら

想像して見て下さい ‘お客さま’

‘天国’は そりゃー 異様な光景でっせー

なにを 不謹慎な 罰当たりなことをですって

申し訳ございません なにせお笑いのことですから

どうぞ 御海容のほどを お願い致します

これらの点についても はっきりさせておかなくてはなりませんよ

 

次に 食 

食べ物事情は どうなっているのですかねー

これも 色々と好みが違うから 取り揃えるのに 大変ですよ

大体 ‘天国’に 火の玉の形でやって来るとしたら どうなります

火の玉は 何食ってんです

火の玉の食い物など 聞いたことないですよ

‘レストラン天国’を開設して

‘天国食’のメニューを作らなくてはなりませんよ

ラーメン餃子の専門店と言うわけにも いかないだろうなー

火の玉が ラーメンすすったら 

ヤキソバ食べてることになっちゃうよ

そしたら メニューの偽表示だと言って 大騒ぎになっちゃうかもな

えらいことですよ

しかし 食は皆んなの 大関心事だから

とにかく ‘天国’には古今東西から

色んな方々が 集まっているのでしょうからね

縄文食から現在食まで 取り揃えなくてはならないのですかね

北京原人には やっぱり 中華料理ですかね

カップラーメンで良いですかね

カレー味が いいかなー

具体的に 説明できるようにしておかないとなりませんよ

次には 住だ

住む家ですよ

‘天国’にふさわしい家は どんなんかなー

‘天国’の住宅なんて ちょっと 想像しにくいな

大体 地盤はどうなってるんだ

雲だったりしたら 始末にならないな

液状化なんて言う話では治まらないよ

快晴の時には 地盤が無くなってしまうよ

これは 建築しにくいな

かといって 家がない‘天国’って言うのも 

しみったれてるしなー

‘天国’では 皆んな ホームレスちゅーうわけにはいかないよ

どうしたものかね

超高級高層マンションが 良いですかね

クレオパトラ 楊貴妃 小野小町 らが住んでいますよ

マリリンモンロー ヘップバーンも欠かせないな

取材の記者で 何時も ごった返すことになるな きっと

卑弥呼 聖徳太子 源頼朝 信長 秀吉 家康 らもいるかね

信玄謙信が隣同士だったら 喧嘩ばかりしてるよ きっと

度々の出演で恐縮ですが 火の玉

円形の超高級巨大マンションの窓から 

一斉に火の玉が覗いていたら 

異様な光景ですよ

もう 花火上げる必要はありませんわ 

 

近所に スパーやコンビニもあった方が便利だろうし

病院も必要なのかね

だいたい‘天国’人は 病気するのかね

ギックリ腰になったりするのか

町づくりを 総合的に考えなくてはねー

地震 津波対策も必要だな

住宅事情も ちゃんと具体的に説明できなくては ならないですよ

参ったねー ほんと

これは問題ですよ 暫く考えなければならないよ

お客さん 考えてみて下さい

衣食住についてだけ見ても 

‘天国’の状態がどのようになっているのか

分からないことだらけなのですよ

どうします

生活ラインだけ見ても

電気 ガス 水道の設備はどうなってます

原発は いらねーな 一切無用

‘天国’が放射能汚染なんて 目も当てらんねーぞ

料金は必要なのか 無料なのか

石油値上がりしたら

こっちも 値上げするつもりか

道路 交通機関などは どうなってる

パンクした時 修理はすぐできるのか

学校は 警察は 裁判所

もう いちいちこう言ったことが 分かっていないと ダメなのですよ

それを 見極めずに 迂闊に‘天国’へ行ってしまうと

後で どうだ こうだ と もめ事を起すことになるのですよ

良いはずの‘天国’が 娑婆と同じになってしまいますよ

厄介ですな

政治情勢 も 経済情勢 も どうなっています

えらい難儀なことですなー

お客さん 早速 今日から泊まり込みで 

‘天国’の建設に掛かりませんか

一枚噛んで ちゃんと自分の希望を入れておかないと

将来 ‘天国’へ行く 楽しみがなくなってしまいますよ

それでは そろそろ 出かけますか

下調べに

今日は 草津温泉にしますか

それとも 熱海温泉にしますかね

ちょっと ‘天国’ぽくね

お願いしますよ 

‘お客さま’

 

《お笑い‘天国’ 分析編》を終わらせて頂きます

お後が宜しいようで