《停念堂閑記》54

「停念堂寄席」45

 

《 あの世談義 》

 

[その2ー1]

 

八:「おーい ヒグマー まちげーた 熊  ヒグマかー またまちげーた ヒマかー」

熊:「おー 八か 朝からなにボケてんだ  ひとの名前で 遊ぶんじゃーねーよ

  ヒマかーって おめーこそ ヒマそうだな 相変わらず」

八:「オラか 今日はヒマと言えばヒマだな しかし 直に忙しくなるかも知れねーだよ

  熊 おめー 次第だ」

熊:「オイラ次第とは何だ 

  オイラは 今までは ヒマだったがよ たった今 事情が変わった

  おめーが 来ると すぐに クヨが出来てしまうからよー」

八:「クヨ クヨって 何だ」

熊:「クヨは クヨにきまってらー 下らねー用事のことよ」

八:「下らねー 用事で クヨか  おめーも よくそんな下らないこと 思い付くだなー」

熊:「ばーか 今はこう言うのが 一番でーじなんだよ 最先端の発想よ」

八:「何処が 最先端なのだ けっこう ボケが入ってんじゃねーか」

熊:「おめーは 相変わらずの能天気野郎だなー

  おめーは 社会情勢に目を向けたことはねーだろう  だから 発想が貧弱なんだよ 

  常にだなー 社会の動きを注視していなければ ならねーんだぞ

  それでもってな 今何が一番問題になっているのか

  どうしたら その問題が解決できるのか ちゅーことを 考えなければならないのよ」

八:「へー そんなもんか それで 社会の動きを注視していたら 

  何で クヨ となるだ」

熊:「それはだな それは 説明の必要がない 至極あたりめーの論理よ

  八 おめー 朝起きたら 何をする 順を追って 言ってみろや」

八:「朝起きたらか まず 目が覚めたら 

  そーっと 手のひらを尻の下に忍び込ませ 湿度を観察するな」

熊:「おめー その年になって まさか」

八:「熊は 察しが早くて助かるだよ やっばり オラの親友だな その まさかの確認から オラの1日が始まるだよ

  湿度100%の時は 1日がブルーっちゅーもんよ

  朝方の夢は要注意だよ 

  ションベンがしたくてよ トイレを探しても 探しても 見つからず

  ようやく 見つかってもよー 順番待ちの大行列 身がよじれるだよ

  立ちションしようとしても 人通りが絶えずよ 

  もー ダメー と言う時でもトイレが 見つからない時は セーフ ノープロブレムちゅーもんよ

  これがよ トイレが見つかって 混んでもおらず すーっと いった時は この上ない それはそれは快感よ 

  貧富貴賎を問わず 神から与えられた平等の感覚よ

  が しかしだよ これが最大の悪夢ちゅーもんよ

  目覚めてよ 湿度観察の時 100%の時は 天国から地獄に真っ逆さまよ

  お袋に 怒鳴られるだよ さっさと 布団干してきなー とね

  しぶしぶ 物干に布団を掛けているとよ

  こう言う時に限って 隣のオバはんに出くわすだよ

  あーら 八さん 朝から おカーさんのお手伝い 偉いわねー なんちゅってよ

  今日の地図は 北極の氷が一段と小さくなって 随分融けちゃったのねー 

  台風の影響で あちこちで大洪水だったしね 

  なんてよ 嫌味なババーだね 全く オラの尻の下のところだけ ゲリラ豪雨だったのかちゅーの」

熊:「八 おめー いい加減に 卒業しねーと 嫁さんの来手がねーぞ

  それで 布団干しの次は 何をするのだ」

八:「布団干しをしなければならねー時は その前に一手間かかるだよ

  濡れたパンツのままだと ぐえーがよくねーだよ パンツがケツに張り付いていたりしてよ

  隣のオバはんに見つかると マー 早々とプールに行って来たの なんて 言いやがるからよ

  パンツ履き替える 手間がかかるだよ

  これでも色々と苦労があるだよ

  普通はよー 目覚めたら まずは ションベンに行くだべ

  布団干しのない時は オラも ションベンに行くだよ

  布団干しがある時は ションベンに行かなくていいだよ 先に済ませたから 一手間省けるだよ 

  ここで パンツ履き替えの手間を 取り戻せるだよ

  それから 顔洗ってよ 歯磨いてよ 

  この辺りは マー 一般的と言って いいだべ

  ところでよ この間 以前に治療した歯の具合が悪くなってよ 歯医者に行っただよ

  今は みんな予約制になってるだな 1週間に一度予約して治療するだよ

  それは良しとしてだよ ひと月ほどかかってよー もー治療が終わったのによ

  来週もう一度来るように それで終りにしましょう と言うだよ

  そんで 予約してよ 出かけていったら 治療は済んでいるので 予防のために 歯の磨き方を教える と言うだよ 

  以前もあっただよ 来週もう一度来るように

  それで終りにしましょうとね 次の週 出かけて言ったら 歯石だけ取って 終りと言うことも あっただが

  歯磨きの講習をやる と言うのは 歯医者も また 新手を考えたもんだな

  以前は 歯ブラシでゴシゴシと横磨きをやると 

  歯の表面が痛むから 上下に磨くように と言われただよ 

  ところが 今度は 歯科衛生士のオバはん先生がよ 歯ブラシを取り出して ブラシの部分を 

  親指で思いっきり押し潰してよ ぺちゃんこにして このように 強く押し付けて磨くと歯が傷むから

  鉛筆を持つように かーるく持って 小刻みに横磨きするのが良い と言うだよ

  ただし この磨き方だと かなり時間がかかるだよ

  それまでは オラは5分とかからなかっただよ それが 15分以上かけてやるように と言うだよ 

  冗談ではねーだよ

  それでよ いくら強く磨くと言ってもよ 

  親指を思いっきり押し付けたようなブラシの状態で 磨く人はいないのではねーの

  かーるく磨いても 長い時間かけたら 結果的に 歯の表面がすり減るのではねーのか 

  と言ってやったらよ 

  オバはん先生 なんも答えられねーでやんの

  聞こえねー振りしゃがってよ」

熊:「小児科産婦人科は 少なくて困っているが 歯医者はやたら多いからな

  あの手 この手で 儲けよーと 懸命なのよ

  そんでよ 歯磨が終わったら どうする」

八:「歯磨が終わったら そーだな まー 朝メシだな

  まず フレッシュ ジュース と行くだな

  オレンジ りんご バナナ イチゴ グレープ トマト 

  オラはフルーツなら 何でもいいな ただし 青汁は やらねーだよ

  そんでもって フレンチトースト 卵がたっぷり滲みたやつ

  そんで かりっと焼いたベーコンアスパラ添え と言ったところが定番だな

  食後は 決まって ホットのブルマンのブラックよ」

熊:「八 ハッタリもいい加減にしろよ ションベンたらしが

  フレッシュジュース フレンチトースト ブルマンのブラックだと

  おめー 知ってる限りのかっこいいのを並べやがって

  実際は メシにみそ汁ぶっかけて かっ込んでるくせしやがってよ」

八:「熊 何で知ってるだよ

  怪しげな視線を感ずると思ったら おめー 覗いてたなー」

熊:「まー 悪く思うなよ

  実は オイラも みそ汁ぶっかけ丼 大好物よ 豪勢に卵を落とせば もう特上よ

  午前中のエネルギーは これでもうバッチシよ

  おめーのヨタ話なんぞ どっからでも来い ちゅーもんよ

  そんで メシが終わったら どうする」

八:「朝メシが終われば ウィークデーは 仕事に行くだよ オラー 伯父さんの店で働いてるだよ

  伯父さんは 雑貨屋さんをしてるだよ 重い品物運びが オラの主な仕事だな

  時給 748円 何も政府で決めた最低賃金にしなくともと思うだが

  オラの働きぶりだと これで精一杯だと言うだよ

  熊 どう思う」

熊:「どう思うったって オイラが雇う側だとしたら

  八に支払う時給だったら せーいっぱい きばって30円とこだな」

八:「30円! 30円たー どう言うこったー」

熊:「おめー 何時も下らねー事ばっかし くっちゃべってて 全然働かねーではねーか

  30円でも 惜しいくれーよ」

八:「熊 おめーは やっぱり ちっちぇーな 

  そんな魂胆だから 何時まで経っても 社長になれねーのよ 

  従業員2人の会社 おめーのカカーが社長 そんでもって おめーが 万年平社員 家でも会社でも

  カカーの言いなり 時給30円じゃー 社員が集まらねーぞ」

熊:「余計なお世話でー おめーみたいな社員集めてどーする 会社始めるめーに倒産してらー 

  四の五の言わず 伯父さんに感謝しろちゅーの」

八:「ところで 熊 おめー 何時までオラの1日の行動を調べるつもりだ

  おめー 探偵でも始めたのか」

熊:「そおーだ おめーが関係ねー 下らねーことばっかし言いやがるから

  肝心の本筋に戻るタイミングが狂っちまったよ 手前に戻るぞ えーとな 

 与:「歯磨が終わったら そーだな まー 朝メシだな

   まず フレッシュ ジュース と行くだな

   オレンジ りんご バナナ イチゴ グレープ トマト 

   オラはフルーツなら 何でもいいな ただし 青汁は やらねーだよ

   そんでもって フレンチトースト 卵がたっぷり滲みたやつ

   そんで かりっと焼いたベーコンアスパラ添え と言ったところが定番だな

   食後は 決まって ホットのブルマンのブラックよ」

  ここから 出直すぞ

  八 余計な口出しをするなよ 本筋を びしっと決めるからな」

八:「ところでよー 熊 本筋ってなんだ」

熊:「おめーよ 人の話を全然理解してねーなー  クヨのことよ」

八:「あー そうだ クヨのことだったな」

熊:「やっと 思い出したか」

八:「ところで クヨのことって 何だったべ」

熊:「クヨのことって 何だったべだとー  八 おめー いい加減しろよ

  まてよ おめーは 与太郎の親友だったな 

  与太郎の親友は これで良いのか 何たって 与太郎と同レベルだものな」

八:「おーよ オラ与太郎の親友だよ 正真正銘の親友 どーだ 恐れ入ったか」

熊:「はいはい 分かりましたよ 与太郎の御親友樣  クヨとは 下らねー用事の略語 

  このように略語を使うことが 最先端の発想だ と言うことよ」

八:「それが どうした 何処が最先端なのだ」

熊:「そいじゃー 言って聞かせるべー

  たとえばだよ パソコンで文書で作成するな

  その時 <プリンター>と言う語を キーボードで打ち込むとするな

  <プリンター>と打ち込んでも 当然良いのだけれども これを <プリンタ>と打つわけよ 

  すなわち ターののばす棒を一つ省くのよ

  今は <プリンター>と書く人もいるが <プリンタ>とのばさずに書くのが一般的なのよ

  すなわち 一字分を省くわけよ 八 何でか 分かるか」

与:「そんなこと 知るけー 大体 オラ バソコンはやらねーだよ」

熊:「そんじゃー 言って聞かせるべー

  一字省略すると言うことはだなー まず 一字打ち込む手数がかからねー と言うことだ 

  と言うことは 一字打つための時間短縮となるわけだ

  そして 一字打つ分の労力も 節約となるわけよ

  さらに 一字分の打ち込みに必要な電力の節約にもなると言うことよ

  加えて この文書を印刷する時も 一字分の電力の節約になるのよ

  そして 印刷のためのトナーとかインクとか紙も節約になるのよ

  と言うことで すべからく 省エネに繋がるのよ <省エネ>も 省エネルギーを略したものよ

  すなわち 現在 最も問題になっているのは 電力をはじめ諸エネルギー 

  エネルギーを作るための諸資源の不足と言うことよ

  この問題に対処する省エネについての発想が 最先端の重要なことなのよ

  だから <プリンタ> <省エネ>と同様 <クヨ>が最先端の発想と言うことになるわけよ

  どうだ 回りくどかったろう 分かったか」

八:「なるほど 回りくどい と言うことは 良く分かっただよ

  ところで この理屈とオラの目覚めからの行動がどう関係してるのだよ

  さんざん喋らせておいて なんの関係もねーのではねーか」

熊:「最初は あるのかなー どっかでつながるのでは と思ってたのよ

  それが寝ションベンやセコイ歯医者の話なんぞしやがるから 

  関係が無くなっちまったんだよ

  そーだ 強いて言えばだな おめーの朝メシ後のブルマンのブラックだ

  あれは おめーに 似合わねー 省略しろ これこそ 省エネと言うもんだ」

八:「うるせーや 余計なお世話よ 

  大体 コーヒーはな 血管を丈夫にするのに役立つのだぞ

  血管が丈夫だと 長生きでるちゅーもんよ」

熊:「だから そこが もんでーだっちゅーことよ

  そこに最大の無駄があるちゅーもんよ」

与:「なんだ おめー その言いようは 朝から 喧嘩売ろーっちゅーのか

  オラが 長生き目指して 何が悪いだ」

熊:「悪かーねー 悪かーねーけど 

  だだ長生きするだけと言うのはどうだ と言うことよ

  何かの役に立つように 生きた方がいいのではねーかちゅーことよ」

八:「オラが ブルマンやったら コーヒー屋が儲かるではないか

  儲けたコーヒー屋の親爺が 老人ホームを作ってよ 困っている老人の世話をするわけよ

  これは 立派な人助けというもんだべ

  だから オラがブルマン飲んだら 困っている老人が助かるわけよ

  それに おめーが 四の五のぬかすか」

熊:「おめーも 随分遠大な理屈をこねるなー 

  おめー いったい1日に何杯 ブルマン飲んだら そんなこと可能となると思ってんだ 

  そんな理屈こねるなら 1日に 800杯飲んでからにしろちゅーの」

八:「おー 飲んでやろーじゃーねーか 1000杯飲んでやる」

熊:「八 おめー コヒーの利尿作用 知ってるのか

  コーヒー飲んだら 直に ションベンしたくなるんだぞー

  夢で トイレ見つからなくても 源泉垂れ流しになるぞ

  日中に 正気の時 垂れ流し やらかしたら 格好悪いぞ 目も当てらんねーな ださー

  老人の世話考える前に 自分の心配でもしねーと」

八:「大きな お世話よ いざと言う時には オラには つえー見方があるのよ」

熊:「つえー見方 まさか オイラを当てにしてんじゃーねーだろうな

  いくら おめーとの仲だとは言え 大衆の面前で 

  パンツ貸せ と言われたって お断りだぞ」

八:「おめーのパンツなど 借りるか 

  オラには ピンピースと言う 強い見方があるだよ 参ったか」

熊:「おめー その若さで もう ピンピースの世話になってるのか」

八:「その若さでー だと 何言ってやがんでー バーか 

  ビンビースは もともと 赤ん坊に 使うもんだ 若者のアイテムよ 覚えとけ」

熊:「これは 失礼しやした ピンピースのスペア 忘れずに持って歩けよ」

八:「余計なお世話よ おめーこそ 

  人前でズボン脱ぐ時には 気をつけろ

  イチゴ柄のカカーのパンツ借りてるの ばれるぞ」

熊:「あの時は 雨続きでよ 洗濯物が乾かず オイラのパンツが遂に底をついてよ

  止むを得ず カカーのをだな」

八:「それにしても おめーのカカーのケツは立派だな 

  おめーのサイズに ぴったりでよ 正に 似たもん夫婦だなー」

熊:「おお ピッタシよ 文句あるか

  しかし おめー そこまでバラスか

  人の嫌がることばか言うと あの世へ行ったら 閻魔に舌引っこ抜かれるぞ」

八:「おー おー 思い出した そのことよ

  今日 ここに来たのは おめー誘って ご隠居の所へ行こーと思ってよ

  ご隠居 救急車で病院に運ばれて その後 どうなったかと 心配してるだよ」

熊:「そのことよ オイラも気になってたんだよ 

  あの世へ行っちまったんでねーかとよ 早く 行ってみよーぜ」

与:「ご隠居 留守かい

  ご隠居専属ボランティア与太郎さんですよ」

熊:「与太郎 おめー いつの間にきていたのだ

  だいたい その入りは違うと言ってるだろー」

与:「これはお決まりのパターンだから 代える訳には行かネーだよ」

隠:「これは これは 与太郎さんかい おあいにくさま 在宅ですよ」

与:「ご隠居 大丈夫だったのけー 

  けーってない時には オラが留守番するべ と思ってやって来ただよ」

隠:「それには 及びませんよ とっくに 帰って来てますから」

与:「本物のご隠居に間違いないべな とりあえず 足を見せて下せー 足あるだか」

隠:「はいはい どうぞ ちゃんと 足はありますよ」

与:「本物だかー 義足ではねーべな ハリボテでもねーべな」

隠:「本物ですよ ほれ ほれ ちゃんと 水虫もあるでしょ」

熊:「本当だ オイラがうつした水虫だ まちげーねー」

与:「そんじゃー 救急車で運ばれていた時 

  <あの世>の入口辺りまでは 行って来ただか」

隠:「おあいにく様 救急車のご厄介にはなりましたが 

  与太郎さん特注の「なんじゃもんじゃ寿限無心太丼」に

  吐き気を催しただけで 気を失ったわけではないですから

  <あの世>方面には 行かなかったのですよ」

与:「そーですけ そりゃー 残念だったなー

  てっきり <あの世>の入口辺りまでは 

  なんとか確認出来たんでねーか と期待してたのだけんど

  だめだったのけー」

隠:「ご期待に添えず 申し訳ございませんね

  軒下での長話では 熱射病にでもなったら 

  また 救急車を呼ばなくてはならないので 上がって お茶でも飲みながら話しましょう」

熊:「ご隠居 与太郎は 上げねーで 

  熱射病になってもらうことにしたらどーです

  大体 <あの世>が どうのこうの言ってるのは 与太郎だから 

  本人が現地へ出向いて 確認するのが 一番と言うもんですぜ

  まてよ こいつ めっぽー記憶が悪いから けーって来るまでに みんな忘れちまうな

  それじゃー 意味ねーか」

隠:「そうですよ 熊さん そんな無茶言っては いけませんよ

  大体 一人で帰って来れるか どうかが 怪しいものですからね」

熊:「そんじゃー 与太郎デジカメとナビ持たせることにするべ」

与:「こら いい加減しろよ

  オラが 熱射病になって <あの世>の入口辺りまで行って

  デジカメで写真とって ナビ頼りに けーって来る ちゅーう計画か

  途中で 電池切れたら どうなるだ

  ねえ ご隠居 どこか 充電するところあるんですかね」

隠:「さー 良くは知りませんが どこかにあるのではありませんか

  <ある世>て言うくらいですから」

与:「<あの世>だから<ある世> ご隠居 ちょっと苦しくはねーだか」

隠:「それを言い出すと 長くなりますから さーさー上がって下さい

  おばあーさん 与太郎さんと熊さんと八さんですよ

  お茶をお願いしますよ」

熊:「それでは お邪魔しますだ 何時もは 与太郎が余計なことをもーしやすが

  麦茶だけで けっこーですから お茶請けなどの しんぺーは不要ですから ホント」

与:「こら 熊 おめーは 相変わらず ずーずーしいな 

  お茶請けまでにおわせて

  ご隠居 餡子たっぷりの草団子など しんぺー しないで下せーよ ホント」

隠:「はいはい 気を回して頂きまして 恐縮です

  おばーさん お茶請けの お団子は いらないそうですよ」

婆:「はいはい 承知いたしましたよ おじーさん」

熊:「与太郎 おめーが 余計なだめ押ししやがるから 責任とれよ」

隠:「まーまー 冗談ですよ 何かお茶請けも出ますから」

与:「それでは <あの世>の続きを 伺いますべ

  <あの世>の有無については この間 要点を教えてもらっただが

  宵越しの記憶を持たねー 江戸っ子熊さんは もーとーに忘れちまっただべな」

熊:「あたこーよ チビットも記憶してねー サッパリしたもんよ 

  ざまー見やがれちゅーもんだ」

与:「シャーねーヤローだな まったく それでは オラが要点をまとめてやるから  

  よく聞けやー

  居眠りするなよ おめーは 人の話を聞くのがメッポー弱いからな

  30秒も経たねーうちに 鼾かきやがるからなー

  居眠りしたら お茶請けをオラが食っちゃうからな

  まだ 出てねーが

  ここまで 釘刺しておけば いーべ

  眠気と食気のたたかいだ さーどっちが勝つかな

  要するに <あの世>があるか 無いか と言うことよ

  ここで でーじなのは <あの世>は 

  これが<あの世>でござーい と示せるような目に見える形のものでは無いと言うことよ

  すなわち 物的性格のものではなく 観念的な存在のものなのよ

  熊 起きてるか 頑張れよ」

熊:「うるせー さっさと終わらせろ」

与:「まだ 頑張っているようだな

  すなわちだな <あの世>とは 人間が考えだしたもので 

  最初から これが<あの世>だ と言う形で存在していたものではねーのよ

  要するに 誰かが 何らかの必要で 言い出したことなのよ

  何等かの必要と言うのは 

  例えば 人間死んだらどうなるのかと 不安や恐怖に怯える人がいるわけよ

  そこで 人間死んだら <あの世>へ行くんだよ

  <あの世>は すごく良いところだから なんの心配もないよ

  と とても良い<あの世>を存在させて 言って聞かせ 

  死の不安 恐怖を取り除いてやるのよ

  また <この世>を安心して住める良い社会とするために

  素晴らしい<あの世>へは <この世>で好い事をした人だけが 死後に行ける と説き

  反対に <この世>で悪事ばかり働いていた者は 

  素晴らしい<あの世>には行けず

  例えば 地獄を設定して 地獄へ落ちると説いて

  地獄へ堕ちたくなければ 悪いことをしないようにと言って

  <この世>の悪事を無くそうとするわけよ

  また 中には <あの世>を利用して 金儲けを企むやつもいるわけよ

  このような必要で <あの世>が存在するように 説く人がいるわけよ 

  そこで そのようなことを 信じる人と 信じない人がいてよ

  信ずる人は <あの世>はあると言い

  信じない人は <あの世>なんてあるもんか と言うわけよ

  要するに <あの世>が有るか 無いかは 

  それを 信じるか 信じないか と言う問題だな

  ご隠居 こんなところで どうだべ」

隠:「大体 良いんでないかい」

与:「良いんでないかい? ヒョトして ご隠居道産子けー」

隠:「そう言う 与太郎さんは 栃木けー」

婆:「どうも お待ちどー樣

  サーサー お茶が入りましたよ

  餡子草団子は 止めにして 

  心太(ところてん)にしてみました お二人とも 

  大変好物のようですから

  ところが ブルーハワイのシロプを切らしておりまして

  酢醤油では お口に合いますかどうか」

与:「ブルーハワイシロップ切れ 

  そんなの無くても 何ら問題はねーだよ

  ずーっと 我慢できますだよ

  しょーじき言うと 切れていた方が 大歓迎だよ

  それにしても 何時見ても お若くてお奇麗だなー ご隠居の奥様は

  本当に 風吹ジュンと 見間違えるだよ」

熊:「与太郎 おめーの好みで 勝手に風吹ジュンにするんじゃーねーよ

  どう見ても 30年後の深田恭子だな まちげーねー」

婆:「マーマー これはどうもありがとうございます

  お二人とも 何時も お上手 ばっかり どーぞ ごゆっくり」

隠:「あまり 持ち上げないで下さいよ

  このごろ お化粧が 殊の外念入りになりましてね

  ちょっと 出かけるにも 時間がかかるんですよ

  けっこう 待たされるのですから

  その上 私に意見を求めたり するんですよ

  私 武井咲ちゃんのお姉さんに 間違えられないかしら なんてね」

八:「これは これは ご隠居 ご馳走さんでやんす

  しかし よく見ると ご隠居も 中々のイケメンだなー

  ちょっと キムタクが入ってるだよ 少しだけんど」

隠:「ちょっと とか 少しだけ と言うのは何です 

  これじゃー 天ぷらソバはおろか 盛りソバにもほど遠いですよ」

熊: 「八 おめー 余計なことぬかすな 天ぷらソバ遠のいてしまたでねーか」

与:「とんだ やぶソバ ではねーな やぶ蛇だったな 

  しょーがねー <あの世>談義にもどすべ

  ご隠居 <あの世>は 有ると信じていた方が 良いだよな

  未来が豊になると 言うもんだ」

熊:「おめーは 全く 単細胞だな 有る 無しを言う前に

  <あの世>とはどんなところか それを確かめねーとだめだちゅーの

  早い 話がよ 有る 無しを先に決めちゃってよ 

  例えば 有るとしてだな それが 

とんでもねー 面白くもねー ところだったら どーする

  そんなものの存在を 信じさせたところで 

  おめーの言う 未来が豊になるかちゅーの」

与:「熊 おめー まともなこと 言うでねーか でーじょーぶか 

  この暑さだ 暑気あたりして 可笑しくなっちまったんでねーか

  一度 かき氷治療した方がいいぞ

  かき氷をよ たて続けに 2・3杯かっ込むとよ

  頭キーン 心臓キューっと きて いっぺんに 暑さがどっかへ吹っ飛んでよ  

  死にそうになっていたのが いっぺんに生きけーるぞ

  しかし 言われてみれば そのとーりだな

  宝クジ 買うと外れ 

  競馬 競輪 競艇 オートレースから バチンコまで

  常に やると負け スッテンテン

  こんな<あの世>だったら あっても意味ねーな

  宝クジ ジャンボ 7億円 大当たり

  競馬 重賞レース 常に 万馬券 大当たり

  競輪 競艇 オートレース 常に 大穴 大当たり

  パチンコ やれば フィーバー フィーバー 大当たり

  と言う<あの世>の方が 遥かにいいな これにするべー」

熊:「おめー また トーシローのようなこと言うなよ

  こんな 何でも 大当り だったら クソも面白味が ねーだろうが

  勝負事ちゅーのはな 勝ちと負けがあるから 勝負となるのだぞ

  勝ち負けがあるからこそ おもしれーんではないか

  負けがあるから 勝った時 やったぜー 

  とことさらの喜びが沸き上がると言うものでねーか

  勝ってばかりいたら カチカチ山だー タヌキだったら 大火傷するぞー」

与:「また 訳の分からねーことを 

  何で ここでタヌキが出るだよ」

熊:「タヌキだって たまにゃー 出たいんだよ

  ここで出なきゃー モー 出る機会がないわけよ」

与:「だったら タヌキと<あの世>が どんな関係があるのだよ

  <あの世>にも タヌキがいると言うのか」

熊:「あたこーよ おめー 知らねーのか アノタヌを」

与:「アノタヌ! なんだアノタヌたー」

熊:「おめーは この話は初めてか 初めての場合は仕方ねーな

  アノタヌは <あの世>のタヌキのことよ 最先端の発想よ」

八:「おめーの最先端は いちいち聞き直さねーと分からねーから

  ちっとも 省エネの役にたってねーぞ 手間かかるだけだべ

  おめー相手にしてると 埒が明かねー ねー ご隠居

  アノタヌは いますかねー 

  いけねー 間違えちまったでーか アノタヌは 関係ねーだよ

  <あの世>とは どんなんですかねー」

隠:「前に言ったように 

  <あの世>とは 死後の世界と言う概念は 一般的のようですが

  これでございます と言って見せることができるような

  最初から固定した形で存在しているものではないようですよ 

  要するに 漠然とした抽象的性格の強い存在とでもいいますかね」

与:「ご隠居 オラは こう見えても 与太郎さんだよ

  漠然とした 抽象的性格の強い存在 なんて言われたってサッパリ分からねーだよ

  餡子が付いているのが あんころ餅

  きな粉が付いているのが きな粉

  枝豆の擂り潰したのが付いているのが ずんだ餅

  と言うように 分かりやすく言ってくれなきゃー 分からねーだよ」

隠:「それじゃー 餡子と黄な粉と枝豆の擂り潰したのを

  ぜーんぶ付けたら何餅と言うのです」

与:「そんなの簡単でー

  餡子 黄な粉 ずんだ餅に決まってるベー」

隠:「それでは それに ゴマだれ 味噌だれ 醤油だれ 甘酢だれ

  ココア チョコ なまクーム カスタードクリーム

  ぜーんぶ付けたら何餅と言うのです」

与:「それは 餡子 黄な粉 ずんだ ゴマだれ 味噌だれ 醤油だれ 甘酢だれ

  ココア チョコ なまクーム カスタードクリーム餅に決まってるベー」

隠:「与太郎さん あなた 完全に寿限無ですね それはどんな代物なのです」

与:「そりゃー 一口では言い表せねー なんとも 複雑な奇妙な代物よ」

隠:「それですよ それですよ 

  何が何だか良く分からない代物 

  それが 私が言った<漠然とした 抽象的性格の強い存在>と言うのは

  <あの世>なんて 法律で規定されたものではなく 

  研究者が 調査研究して その実態を極めたものでもなく

  と言うか その実態が存在していないものだから 実態究明のしようも無い代物で

  何時か 誰かが 何らかの経緯 事情で 

  いわゆる<あの世>と言うことについて 語ったことがあるとすると

  それが なんとはなしに 伝承されて来たようなものではないのでしょうか

  だから 体系的な存在とはなっておらず 

  その局面で必要とされることについて 

  あれこれ言われている事情にあるのではないでしょうか」

与:「ご隠居 与太郎さんとしては そのように言われると 

  訳が分からなくなるんだって言ってるだよ

  そのー 横文字で言うならば シンプル シンプルって言うやつだな

  シンプルにやってもれーてー 分けだよ」

熊:「おーよ そのとーりよ

  シンプル イズ ベスト ちゅーもんよ

  ご隠居 ぼやかしっこ 無しで おねげーしやすよ」

隠:「弱りましたね 私だって よくは知らないことですからね

  知らないことを 具体的に言えと言われると

  正直なところ 知りません とお断りするよりないのですよ

  そこを無理して 具体的に言おうとすると

  結局は 作り事 すなわち 

  嘘を交えて言うより仕方が無いと言うことですよ

  時々 <その事に付いては 良く知りませんが>と前置きして

  けっこう 具体的な分かりやすい話をする方がいらっしゃいますが

  <良く知らないことは> 本来 具体的に話すことなど出来ないはずなのです

  それを具体的に分かりやすく話している と言うことは 

  興味をそそるような作り事を 

  本当の事のように話していると言うことに他ならないのですよ

  ですから 本来 明らかに出来ない性格のことを具体的に話すことは

  それは 嘘を交えて話している可能性があるのですよ 

  このような話は 聞く側の人が 注意していなくてはならないのですよ

  ご理解頂けたでしょうかね 与太郎さん 熊さん 八さん」

八:「改まって ご理解 と言われると 俺たち3人組は

  どちらかと言うと ご理解とは 日頃 縁遠い と言うか

  幾分 距離をおいた 生活を送ってやして へー

  些か そのー 責任のある返答は なかなか潔しとはしねーだよ」

隠:「いやいや そんなに鯱張った固い話ではないですから 

  気楽に参りましょう

  とりあえず 心太をすすりながら」

熊:「へーへー 頂きやす 

  ところで ご隠居 心太は 何とはなしに 頼んない と言うか

  存在感が薄い食べ物でやすね

  似た物に シラタキとかハルサメとかクラゲなどがありやすが

  これも どちらかと言うと 何とはなしに 頼んない と言うか

  存在感が薄い食べ物でやすね どうしてか 分かりやすか?」

隠:「これはまた いきなり 明後日の方向できましたね

  えーと これはですね 多分 いずれも骨抜きだからではないですか」

熊:「さすがは ご隠居 一発正解でやんす

  骨入りの心太を作ると おもしれーことになりやすぜ

  ズルズル チュチュとやったとたんに 

  全員 喉に骨がひっかかりやすぜ」

隠:「熊さん 心太談義は よしましょうよ 

  明後日 明々後日 後明々後日(ごしあさって)の話に進展して行きますと

  また 救急車を要請する騒ぎになりかねませんから」

熊:「ご隠居の後明々後日が出たら これまででやすだ

  それでは 心太については 明後日止りで よしと言うことにしますべー

  じゃー <あの世>についてでやんすが ご隠居 <その事に付いては 

  良く知りませんが>と前置きしてはどうでやす

  そーしたら あとは 言い放題で 構わねーだよ」

隠:「熊さん そーは 行きませんよ 

  前置きすれば 何でも言い放題と言うわけには」

八:「ご隠居 でーじょーぶだよ 前置きをちょっと工夫すれば もー こっちのもんよ

  どーせ 今出回っている<あの世>なんて 

  最初は 誰かが その人の都合で 何とか かんとか言ったことなんでしょ」

隠:「それは そうでしょうが」

八:「よーし 前置きをつくるぞ 1人 一つずつ 考えろよ

  まず 熊 おめーからだ」

熊:「オイラが最初か 考える時間がねーぞ」

八:「時間がねーえ おめーの場合は どうせ考えるだけ無駄ちゅーもんよ

  何でも言いから さっさと 言えや」

熊:「そー言われりゃー その通りだ 

  それでは言うぞ 一回こっきりだからな 聞き逃すなよ

  <当りか 外れか 分からねーけどよ>てんだ」

八:「おーおー 分かりいいな おめー 昨日から考えてたんではねーか 上出来だ

  次は 与太郎 おめーの番だ 考える必要ねーぞ 時間の無駄だ」

与:「八 おめー なに調子の良いこと言ってるだ

  人に 言わせる前に 自分のを言ったらどだー それが 筋ちゅーもんだべ」

八:「それは そうだな 失敬したな 勘弁しろや

  そんじゃー いくぞ いいか おどろくな

  <よくは しんねーけんどよー>つんだ

  参ったか 与太郎 おめーの番だぞ さー さっさと言えー」

与:「おめーら 二人とも なっちーいねーな 

  やっぱり 最初に オラが手本を見せておくべきだったな

  おめーらのは 責任ちゅーもんが 何ら感じられねーちゅーもんよ

  とにかくなー ものを言えば 責任ちゅーものが 付いて回るわけよ

  ここに 注意しておかねーと 後で 物議をかもす分けよ

  いいか 責任について はっきりさせておくことが肝要よ

  それでは 良く聞けよ 質問は後で受けるからな

  覚悟は いいか いくぞー

  <初めに 断っておく これから言うことには 一切責任は持たねーからな>

  どうだ びしっと決まってるべー

  こう決めておけば 後でごたごたしねーちゅーことよ」

熊:「ごだくを並べたわりに おめーのは 無責任を宣言しただけでねーか

  後ではなく 最初から問題ありありだちゅーの まったく

  かくなる上は 最初っから分かりきっていることだが

  ご隠居頼みだ ご隠居 頼んますぜ」

隠:「そんなに 期待されても こまりますよ

  私のあまり得意な分野ではないことですから」

八:「そのとおり そのとおり

  前置きは ご隠居の右に出る者は いやせんよ ご隠居 その調子で 前置きをどーぞ」

隠:「あなた達には まったく かないませんね

  本当に 得意な分野ではないのですから」

八:「いよー 絶好調 前置きは それっくれーにして 前置きを どーぞ」

隠:「仕方がありませんね それでは こんなところでどうでしょうか

 [<あの世>については 昔から あれこれ色々と言われておりますが

  万人が これだ と一致する結論を得る状況にはないようです

  それは <あの世>という事の性格上 

  致し方の無いことのように思われます

  従いまして これから私たちの見解と言っては

  はなはだ大袈裟でございますが 考えを交わさせて頂きますが

  閑を持て余している安本丹の戯れ事と笑い飛ばして頂ければ

  幸甚でございます] と言ったあたりでどうでしょうかね」

熊:「けっこう けっこう けっこうでげすよ」

与:「さすが ご隠居 安本丹ときやしたか

  これで 四の五の言うやつは いねーべ」

八:「よし これで決まりだ」

隠:「ちょっと まって下さい

  これでは 少々面白味に欠けますので 少し補充しませんか」

  八さんの <よくは しんねーけんどよー> 

  熊さんの <当りか 外れか 分からねーけどよ>

  与太郎さんの <初めに 断っておく これから言うことには

  一切責任は持たねーからな>

  と言うのを 補足してはどうでしょう」

八:「オラたちのも 並べるんですけー

  ご隠居 ちょっと 発想が寿限無っぽく なってやしやせんか」

隠:「構うことは ありませんよ せっかく考えたんですから

  <あの世>については 昔から 

  あれこれ 色々と言われておりますが

  万人が 納得する 一致する結論を得る状況にはないようです

  それは <あの世>という事の性格上

  致し方の無いことのように思われます

  従いまして これから私たちの見解と言っては

  はなはだ大袈裟でございますが 考えを交わさせて頂きますが

  閑を持て余している安本丹の戯れ言と笑い飛ばして頂ければ

  幸甚でございます

  早い話が ぶっちゃけ

  <よくは しんねーけんどよー> 

  <当りか 外れか 分からねーけどよ>

  <初めに 断っておく これから言うことには

  一切責任は持たねーからな>

  と言う次第でございます。

  てな あたりでどうでしょう」

八:「こう言う事には ご隠居は そつがありゃーしませんね

  オラたちのまで 気を使って 入れてくれて

  本当に 政治家のやつらに 見習って欲しいものだ」

熊:「よーし 決まった そろそろ いい時間だ 昼飯にするぞー

  今日は ご隠居も一緒に行きやしょー たまには おごりますから」

隠:「熊さん あなた 良からぬことを

  企んでるのではないでしょうね

  梅屋さんは だめですよ 梅屋さんは

  この間は 話を聞いただけで 救急車だったんですからね

  現場に行こうものなら 救急車じゃ 済みませんよ」

熊:「でーじょうぶですだ 今度は 霊柩車を手配しときやすから

  冗談ですよ ご隠居

  今日は 与太郎の何じゃもんじゃ寿限無心太丼は

  やりゃーしませんから」

 (つづく)