《停念堂閑記》97

「日比憐休雑記」13

 

北海道弁 〈い~お〉で始まる言葉」

 

本日も、「停念堂閑記」に、ようこそお出で下さいました。

厚く御礼申し上げます。

連日の猛暑の中、本当に、よくいらっしゃいましたね。大歓迎で御座いますよ。

と申しましても、高価な美味しい物でおもてなしをするわけでも、肩をお揉みするわけでも、温泉に入って、冷えたビールをグイーッとやって頂くわけでも、お好みのスイーツをお楽しみ頂くわけでも御座いません。

序でに、お友達と連れ立って、ゴルフにご招待する訳でも御座いません。

粗茶の一杯すら出ませんよ。ポイントだって付きませんから。

このような点は、まー、一言で申しますと、ケチですわ。いや、ドがついて、ドケチと言うべきですなー。

しかし、公金や裏金を使って、どうのこうのと言う事情は、一切御座いませんので、この点は公明正大で御座いますので、ご安心下さいませ。

強いて、幾分カッコ付けて申し上げますと、心の問題とでも言いましょうかね。

おヒマなお方、心を込めて、大歓迎で御座います、と言う次第なのですよ。

話は、毎度の代わり映えのしない、アホくさい、バカバカしい、クダラないと言う三拍子を兼ね備えた、行き当たりバッタリのアホくさい、バカバカしい、クダラない話で御座います。深刻にならないところが、取り得ですよ。

夜、寝られなくなったりしませんからね。

もー、すぐに忘れちゃっても、なんら問題は御座いませんよ。

なんちゅったって、目的がヒマ潰しですからね。

なんとか、ヒマと言うものをですね、あの手、この手で潰さなくては、ダメなのですよ。大して関係のない余計なことを交えたりしましてね。

これは、これで、ケッコウ手間隙かかるのですよ。

手間隙かからなかったら、ヒマ潰しにならないだろうって、ですか。

至極、ご尤もなご意見で御座います。同感・同感で御座います。

張り切って、手間隙を惜しまず、手間隙をかけましょう。

 

さて、本日のヒマ潰しは、北海道弁について話したいと思います。

カニ・ウニ・ホッキ貝・ホタテ貝・イクラ・タラコ・・・など、満載の北海道弁当では御座いませんよ。

北海道の方言ばかりではなく、北海道で日常よく使われている言葉、と言う意味の北海道弁と言うことで御座います。

以前、「停念堂閑記 86」で、「北海道」で、「あ」で始まる語をやりましたので、その続きを「い」で始まる語から行きたいと思います。

「い」で始まる語では、

いいふりこき いいんでないかい いかれる いかれぽんち いくない 

いごい いご(の)く  いたま(わ)しい いっつもかっつも 

くらいしか、思い当たりませんでした。北海道弁らしい、のは「いいんでないかい」くらいで、特徴的なのは、あまり御座いませんでしたので、淡々と行かせて頂きます。

「いいふりこき」は、大阪弁で、「ええ(いい)かっこしー」と言うやつです。要するに、「格好付けたがりや」さんのことですな。

「格好付けやがって」「スカしやがって」が、「いいふりこきやがって」と使われることが多いですよ。あまり好かれるタイプでは無いようです。

「いいんでないかい」は、言うまでもなく「いいのではないでしょうか」の意味です。

北海道では、日常会話のなかで、普通に、しょっちゅう使われます。北海道弁の最も代表的なものと言って、いいんでないかい。

北海道では、一般的に、語尾に「・・・かい」をつけるのが、多いんでないかい。そう言えば、そうでないかい。きっとそうだわ。

誘うときも、「遊びに、行かないかい」と言うと、「海水浴には、やっぱり、ジンギスカンを用意していかないと、ダメでないかい」となるのですよ。

とにかく、語尾は「・・・かい」とやって、北海道弁を流行らせた方がいいんでないかい。

なんのために ? なんのためにって、いちいちそんな事、考えなくても、いいんでないかい。

「いかれる」は、「行く事が出来る」の意味でも使われますが、北海道では「壊れる」の意味で使われます。

「車 いかれちゃって 動かないんだよ」と言うように使います。

人を小馬鹿にする時には、「イカレポンチ」と言います。「この イカレポンチ」と言われると、ムカッとくるわけです。

「いくない」は、「良くない」と言うことです。

「いごい」は、苦味と渋味が混じった味とでも言いましょうか。人によって、味覚の表現は一様では御座いませんので、どのように表現するのが、的確でしようかね。

例えば、ジャガイモを日向に置いておくと、緑色がかってきます。この状態のを食べると、「いごい」と言う、食レポになるのですが、最近の若い人は、殆ど使わなくなってしまったようです。

「いご(の)く」は、「動く」と言うことです。「車が いかれちまって いご(の)かないんだよ」と使います。

さっさと、いご(の)けと言うのは、早くやりなさいの意味です。

「いたましい」・「いたわしい」は、「惜しい」「もったいない」と言った意味で使います。

「もう、それ相当くたびれちゃってるから、投げれば(捨てれば)。」と言われたら、「なんも、まだまだ使えるよ。いたましくって(惜しくって)、投げられ(捨てられ)ないよ。」と、言うように使います。

「いっつもかっつも」は、「いつもかつも・何時でも毎回毎回」の意味で使います。

「おまえ、いっつもかっつもミソラーメンばっかし、食べてるなー。」

と言われたら、「いっつもかっつもとは、限らないよ。時々、塩ラーメンだって食べるよ。」と言うように使います。

 

次に、「う」で始まる語について見て行きます。

これも、僅かしか見つけられませんでした。

うざ(ず)くらしい うそんき(こ) うるかす うるける

「うざ(ず)くらしい」は、スッキリしない樣です。

しばらく床屋さんに言ってないので、髪は伸びちゃって、ぼうぼう、無精髭がもじゃもじゃで、思いっきり、「うざ(ず)くらしい」顔になっちゃったなー。なんて使います。

「うざい」・「うざったい」に、幾分似通ったニュアンスを感じないでも無いのですが、こちらは、八王子地方の方言を元にしたものとか。発生の元は違うようですな。

「うそんき(こ)」は、「本気ではない」の意味で、小生の子供の頃、すなわち、昭和20~30年頃には使っていましたね。

「ほんき(本気)」の反対語です。

北海道では、冬期は雪が積もっているので、外での遊びが制限されます。女の子は、室内で、主にお手玉おはじきあやとりなどをして遊んでましたな。

お手玉は、北海道では、「あやっこ」と呼んでいましたよ。バッチワーク風の小切れ布にアズキを入れて縫い合わせたやつです。

おはじきは、直径1センチ程のペッタンコの丸いガラスです。いろいろな色がついてましたなー。テープルの上に、バラまいて、指で弾いて当てたり、狭い間を通したりしてましたよ。さしずめ、卓上小型カ-リング風(?)でしたなー。

男の子は、専らメンコでしたね。

北海道では、子供の頃は「メンコ」と言う呼称を知りませんでしたね。そんなこと言うヤツはおりませんで、専ら「バッチ」と呼んでました。東京の大学さ行ったら、広島君がいて、広島では、「メンコ」と言わず、「パッチン」と言ってたよ、と言っていました。北海道では「パッチ」でした。

数十センチの四角い板の上に、それぞれのバッチを置いて、ジャンケンで順番を決めて、パッチの取り合いをしましたね。

板の上に置かれた相手のパッチに、自分のパッチを打つけて、相手のパッチをひっくり返すと、頂きとなります。これ手を「おこし」と呼んでいました。

また、相手のバッチに打つけて、板の外に弾き出す手がありました。この時、自分のバッチは板の上に留まっていなくては、相手のパッチを取ることが出来ないルールで、相手のを板外に落しても、自分のも落ちてしまったら、取ることができません。この手を「きんこ」と言っていました。誰が付けた呼び方なのかねー。

それから、相手のパッチの下に、自分のパッチを滑り込ませる手がありました。通り越してはダメです。自分のパッチの上に相手のパッチが乗っかって、静止いないといけません。この手を「すいこみ」と称していました。

勝負手はこの三種です。大抵は、3~6人くらいでやりましたね。

なんとか、相手のを取ってやろうと、工夫をしましたね。

パッチは、円形のボール紙に武将や映画スターなどが印刷されもので、小型のは直径3センチくらいから、大型のは15センチくらいのがありましたね。

これを板上において、相手のを取るのですが、小型のに、大型のを取られると悔しくてね。

パッチの滑りが良い方が使い易い、と言うので、油をしみ込ませたり、ロウソクを塗ったりしましたね。それから、パッチの切り口を分厚くした方が使い易いと言う人もいて、切り口を爪で引っ掻いたりしましたなー。

それから、セコイやつがいまして、1枚のパッチを破いて、2枚、3枚にして使おうとするヤツがおりました。その対策として、破いても良いが、必ず、絵の中に眼がなくてはならないルールでしたね。

また、学生服のボタンを全部外したり、利き手のセーターの袖口を引っ張って伸ばしたりして、パッチを板に打ち付ける時に、風を起こして、相手のパッチを吹き飛ばそうなんて事もしましたね。この技法を「あおり」と言ってましたね。だから、始める前に、「あおり」禁止だからな、なんてルールを確認し合いましたね。

と言う訳で、パッチの取り合いをするのですが、相手のパッチを取った場合、本当に取った人の物にして良いのを「本気」と言い、相手のを取っても、最後に返してあげるのが、「うそんき」と言うわけなのですよ。

年下の小さい子とやる場合などは、本当に取っちゃうと泣かれたりするので、そんな時は、ルール上「うそんき」でやる訳です。

一冬「本気」の勝負をすると、結講、勝ちましてね。パッチが相当溜まるのですよ。昔は、ミカンが木箱に入れて売られていて、その箱を横に寝かせて積み重ねて、本棚などにして使ったりして、何かと重宝な箱だったのですが、それに一杯程、バッチが溜まるのですよ。

一度、満杯になったミカン箱を、宝物として、土の中に埋めて置いてことがあるのですよ。後で、掘り返したら、水が入っちゃって、使い物にならなくなってましたね。

雪が融けて、土が出ると、パッチからビー玉遊びに代わるのですよ。ビー玉も色々な遊び方がありましたが、専ら、ビー玉当てをしましたね。

数人で、お互いに相手と程良い距離にビー玉をおいて、順番を決めて、相手のビー玉めがけで、自分のビー玉を投げつけます。片目をつぶったりして、狙い定めて、相手のビー玉めがけて投げ、命中すれば、頂きとなるのですよ。相手との距離が 問題でして、近すぎると、相手にぶつけられて、あっけなく取られてしまいますので、相手の近くに止まらないように、気をつけなくてはならない訳ですよ。か といって、遠くては、自分の番に、当てることが難しくなり、命中率が落ちて、取れない訳ですよ。相手の腕前と、自分の腕前を見計らって、程よい距離を保たなければ、ならないのです。

相手のビー玉を狙ったところ、命中せずに、相手のビー玉の近くに、止まっちゃったりしたら、一巻の終りで、あっさり取られちゃう訳です。

これにも、「本気」と「うそんき」がありまして、自分で言うのも何で御座いますが、割合、命中率が良くて、これも結講溜まりましたね。

ズボンのポケットに、ビー玉を入れて、じゃらじゃら言わせて、歩いてましたね。ところが、ビー玉は、結講、目方があるのですよ。それで、たま あに、ボケットが破れちゃって、ビー玉を振りまく始末の人もいて、学校には、ビー玉を持って行ってはいけない決まりだったのに、廊下に振りまいちゃったり して、先生にバレちゃって、叱られていたのがいましたよ。

と言うわけで、「うそんき」は、パッチやビー玉遊びの時に使う用語でしたね。オハジキでも、遣り取りしましたね。

次に、「うるかす」・「うるける」ですが、「うるかす」は「水に浸す」ことで、「うるける」は、「うるかした結果、水分を多く含んだ状態」の事です。

たとえば、金時豆や虎豆や大豆な どで、煮豆を作るときには、これらの豆を水洗いして直に鍋に入れて煮ると、中々煮えません。柔らかく煮上がらないのです。そこで、これらの豆の場合は、一 昼夜くらい、予め「うるかして(水に浸して)おいて 、よく「うるけて」から、煮ると、短時間で柔らかく煮上がるわけです。

但し、アズキは「うるかさ」なくても良いのですよ。水洗いして、鍋に入れて直にガスにかけて良いのですよ。沸騰したら、煮汁を捨てて、新しい 水を補給して煮ると、アクがとれて、上手く煮上がります。二度アク取りをすると、一層旨くなりますよ。砂糖をたっぷり、塩を少々入れて、出来れば丸餅を入 れて、オシルコにすると、とっても旨いですよ。好みを言えば、餅は焼かないで、煮て柔らかして、よくノビルのが好きです。蛇足ながら、お粗末。

餅を作る時も、餅米を予め「うるかして」おいて、よく「うるけた」餅米を、蒸すと、短時間で蒸し上がるし、蒸しむらもできず、臼で搗(つ)く のも、楽に出来る事になるのです。「うるかさない」でやると、蒸し上がりに時間がかかり、蒸しムラもできたりして、搗(つ)くのにも時間をようし、良く潰 れない米も出来たりして、なめらかな餅に仕上がらないのですよ。そんなこと、モチ論ご承知ですよね。蛇足でした。

長湯すると、指先の渦巻き面が、「うるけ」ちゃいますよ。

 

次に、「え」で始まる用語について見ます。少数です。

えぐ(ご)い  えんこ 

「えぐ(ご)い」は、前項で見た「いごい」と同じで、苦味と渋味が混じったような味を表す語です。

「えんこ」は、二つの意味で使われます。

一つは、「故障」する意味で使われます。エンジン故障の略語ですかね。

「車がえんこしちゃった。」と言うように使いますが、拡大して、「内の母ちゃんが、えんこしちゃった。」と言うように、使っていた旦那さんもいましたよ。

これは、「内の奥さんが、言う事をきいてくれなくなってしまった。」と嘆いているのですよ。

もう一つは、地方によって、「う」と「え」の発音が、移動しがちな傾向が御座いますな。だから、一般的には、「う」であるところが、「え」に代わることがある訳です。 

それで、些か尾籠な話になりまして恐縮で御座いますが、一般的な「うんこ」が「えんこ」に変身したと思われます。

一般的に、幼児語で、足を前に放り出して座ることを「えんこする」と言うようです。元は縁側に座る形から来たものとか。

北海道では、幼児語で、座ることは、「おっちゃんこする」とか「おったんこする」と言いますので、「えんこする」と言うのは、聞いた事が無く、知りませんでした。

それが、東京で、知人宅にお邪魔した時、お孫さんをダッコしてお祖父ちゃんが現れ、「そりでは、えんこしな。」と言ったので、おいおいここでさせるのかよ、とびっくりしたことが御座いますよ。

幼児を連れて、北海道へ行った時には、くれぐれも「ここに えんこしな」なんて言っては、いけませんよ。顰蹙(ひんしゅく)を買っちゃいますから。

以上、「え」で始まる用語でした。

次に、「お」で始まる用語に移ります。これは、結講な数が御座います。

オーラ オーラ  おがる  おここ  おこーこ  おこわ  おしょろこま  おぞい  おそなえ  おだつ(る)  おたんこなす  おたんちん  

おっかない  おっくりかえす  おったくる  おったんこする  

おっぱじめる  おっぱなす  おっぱりだす  おばちゃん  おばんです  おもしい  おらぶ  おん  おんこ  おんじ  おんた  おんちゃん  おんぶさる  おんぶる  おんぼやき  おんまける

「オーラ オーラ」は、「オーライ オーライ」と言う事です。

さすがに、今はこれを使っている人はいないでしょうね。子供の頃は、車のバックを誘導する時には、皆んな「オーラ オーラ」とやっていたものです。      

「おがる」は、「大きくなる」と言う事です。

今年は、6月から7月の半ばにかけて、低温で、雨が続き、日照不足で農作物の生育が悪かったですよ。胡瓜もトマト茄子も、さっぱり「おがらず」まいりましたなー。

おー、赤ちゃん、ちょっと見ない内に、随分「おがったなー」と言ったりします。

「おここ  おこーこ」は、「香の物」すなわち、「漬物」の事です。主に、大根の糠漬け、タクアンのことをこのように呼んでいたと記憶します。

「おこわ」は、「こわめし」、お目出度い時には「赤飯」、不祝儀の時には「黒飯」となります。

「赤飯」は、一般的に見られるのは、小豆を混ぜたものですが、北海道の場合は、小豆のもありますが、通常は金時豆の甘納豆を混ぜたものです。甘くて、とっても旨いです。

やっぱり赤飯は、甘納豆「おこわ」に限りますわ。

因に、黒飯に甘納豆は使用しません。黒豆です。蛇足ながら。

「おぞい」は、北海道の代表的な方言の一つと言えるでしょうね。

「疲れた  祖末  貧弱」などの意味で使います。

隣の奥さん、働き過ぎて、「おぞい」顔してるわ。などと使います。

 

「おそなえ」は、「鏡餅」の事です。子供の頃は、「おかがみさん」とさん付けで呼んだりもしてましたね。

「おだつ(る) 」は、北海道の方言の代表的な一つですね。

「調子に乗って、大はしゃぎする」意味で使います。

状況としましては、子供に多く見られますが、特別褒められたりすると、大声を発するは、走り回るは、でんぐり返しをするは、変顔をするはで、兎に角はしゃぎ回る事です。

子供が「おだつ(る)」と、もー、騒々しくて、手がつけられなくなります。そこで、大人が「コラー おだつ(る)なー」、とどなりつけるハメと相なる次第なのですよ。

「おたんこなす  おたんちん」は、「アホ バカ マヌケ」などの意味で使われます。一般的ですね。

  

「おっかない」は、「恐ろしい 怖い」の意味合いで使われます。

「お前んちの父ちゃん おっかない顔してるなー。」なんてね。

スズメバチに追っかけられて、「おっかなかったなー。」なんて。

「おっくりかえす」は、「ひっくり返す」の意味で使います。

時に「とっくり返す」「ヘっくり返す」などとも言ったりしますよ。

「おったくる」は、「追い払う」の意味です。

カラスが、すぐゴミをあさりに来るので、「おったくる」のに大変だよ。なんて使います。「ぼったくる」とも言ったりしますね。こちらは、必要以上の金銭を巻き上げる時に、「ぼったくる」と使いますが、「追い払う」時にも、使いましたね。「追い払う」うことを、「ぼう」とも言いますよ。

「おったんこする おっちゃんこする」は、幼児語で、「座る」の意味です。

「ご飯だよ サー おった(ちゃ)んこしなさい。」なんてね。

  

「おっぱじめる」は、「始める」のぞんざいな表現ですね。

「おっぱなす」は、「放す」のぞんざいな表現です。

 

「おっぱりだす」は、「ほうりだす」のぞんざいな表現です。

「おばちゃん」は、「叔母」のことです。

名前を付して、「花子おばちゃん」とか、住んでいる地名を付して、「稚内のおばちゃん」とか言いますね。

「おばんです」は、「今晩は」の夕方の挨拶ですね。北海道東北地方の方言として、よく知られてますね。

以前、漫才師コロンビア トップライトのトップさんが、東北の出身だったのでしょう、夕方・夜の番組に出演する時は、第一声を「お晩でごぜーやす」とやって、「お晩です」を全国的に普及させたことが御座いましたな。

近年は、テレビの影響が大きいのでしょう、北海道でも、夕方・夜の挨拶は、「今晩は」が多くなったようです。

「お晩です」は、丁寧に言う場合は、「お晩でございます」となります。目上の人などに、一応敬意を表する場合には、「お晩でございます」でしたね。

「今晩は」は、敬意を表す場合には、ちょっと不向きですな。まさか、「今晩でござすます」とは、なかなかやりずらいですよ。

以前、ソロバンをもって、カチャカチャやりながら漫談をやった、トニー谷さんは、夕方・夜の番組に出演する時は、第一声を「お今晩は」とやってましたなー。「今晩は」を丁寧に言う時は、「お今晩は」になるのですかねー。敬意を払う前に、おちょっくってるのかになりそうですなー。

「おもしい」は、「おもしろい」と言うことです。

「おもしろかった」を「おもしかった」と言ったりします。

「おらぶ」は、「叫ぶ」ことです。要するに、大声で言うことです。

たとえば、用事で来ていたAさんが帰ったばかりのところ、用事を告げるのを忘れた事に気づいたような場合、今すぐ、「ぼっかけて(追いかけて)」行って、思いっきり「おらべば」聞こえるかも知れないよ、などと使います。

 

「おん おんた」は、「牡」の事です。動物の場合に使います。

牛の子が生まれたわ。「おん(おんた)」だった。なんて。

「おんこ」は、「一位」の事です。

因に、一等・トップの事では御座いません。樹木の一種です。

秋にかけて直径5ミリ程の実がなります。これが「おんこの実」です。熟すると、真っ赤になります。枝一面になると、実に奇麗ですよ。果肉の赤 い部分は、熟すると甘くて旨いですよ。手のひらに、いっぱいとって、一度にパクリと口に入れるのですよ。口の中いっぱいあっさりした甘さにつつまれます よ。但し、中にタネがあって、これは噛むとすごく苦く、毒が含まれているようです。食べられません。

庭木に最適で、「おんこ」の生け垣は最高です。大きく成長した木は、床の間の柱に最適です。赤みを帯びた、気品のある色合いで、床柱に好まれます。かなり良い値段がします。

「おんじ」は、「叔父」の事です。

時に、「弟」の意味で使われることもあるようです。

「おんた」は、「牡」の事です。前出「おん」と同じです。動物について言う時に使います。  

「おんちゃん」は、「叔父」の事です。前出「おばちゃん」が「叔母」で、こちらは「叔父」です。

「おんぶさる」は、「おぶさる」のことです。

「おんぶる」は、「おぶさる」の事です。

「おんぼやき」は、「火葬場で働く人」です。今は、もう死語でしょうね。

「おんまける」は、「こぼす」・「散らかす」・「散蒔(ばらま)ける」の意味です。

オモチャ、ようやく片付けたのに、もー「おんまけちゃってー」と、子供は、しょっちゅうコゴトを言われていますよ。

買物袋が破れちゃって、道路に、ミカンを「おんまけ」ちゃった。なんてね。

 

以上、今回は、北海道でよく使う、よく使われた言葉の内、〈い~お〉で始まる言葉を、思いつき様に羅列してみました。

 

最近は、テレビの影響でしょうか。いわゆる東京弁が一般的に使われる傾向が強く、方言や地方独特の言い回し方が、影を潜めてしまう傾向がありますね。

時代の推移とともに、言葉も変わって行きますなー。

では、お疲れ様でした。お後がよろしいようで。