《停念堂閑記》8

「停念堂寄席」8

 

 《お笑い日本昔話》6 (2013-01-08)

 

 かなりネタに窮しておりますが、駄作ついでに、めげずにもう一つ紹介します。苦し紛れの「金太郎さん」です。

 むかしむかし、あしがら山の山奥に、金太郎という名前の男の子がおりました。

 (ちなみに、弟の名は銀太郎、その下の弟が銅太郎。そんなことは、ドウでもいいダロウ、と言うことなのですが。蛇足ながら、駄洒落です。) 金太郎の友だちは、クマやウシやウマやシカなど山の動物たちです。

 金太郎は毎日毎日、動物たちと相撲をとって遊んでいました。

「はっけよい、のこった、のこった」

金太郎、がんばれ、クマさんも負けるな」

 だけど勝つのはいつも金太郎でした。もう連日、連勝でした。クマもウシもウマもシカも、みんな四つ足の動物だったので、すぐに前足をついてしまう癖があったのです。

 ある日、動物達は、提案をしました。相撲ではいつも負けてばかりなので、たまにはちがう種目で勝負しようよと。

 これには、金太郎さんいささか躊躇してしまいましたが、この時、金太郎さんには、一策が浮かびました。どのような種目にするのかは、相撲で勝ったひとが決めることにしようよと。しかし、誰も賛成してくれません。そこで、金太郎さん、またひとひねり。それではクイズ大会をしようよと。これには、前足をついても負けにならないので、特に、反対者はでませんでした。

 それで、だれが一番いい答えを出すかで勝敗を決めるとしょう、ということになりました。

 足柄山の山奥で、ケダモノ集めて、クイズ大会とは相なりました。

 まずはじめ出題者は、金太郎さんです。

「ボクの一番好きな食べ物はなーんだ。いい答えをたのむよ。勝者には、すごいメタルを用意したから。」

 クマさんは、不覚にも金太郎さ んの好物を知りませんでした。クマッタ、クマッタと頭を抱えています。ウマさんとシカさんも、全然分かりません。ウマさは「これはウマくないぞ」。シカさ んは「シカたないなー」。とぼやいていました。そのはずです。ウマさんとシカさんは、うかつにも、隣り合わせに並んいたのです。これでは答えは浮かばない 筈です。

 しかし、ウシさんは、知っていたので、ウッシッシとニンマリしていました。

 金太郎さんが言いました。

 「分かった人は、手を挙げて」

 しかし、誰も上げません。知ってる筈のウシさんも上げないのです。

 突然ですが。「ナーンでだ」。

 「それはね、それは、クマさんも、ウシさんも、ウマさんも、シカさんも、みんな人でなかったから・・・」

 あわてて、金太郎さんは言い直しました。

 「分かったら、手をあげて」

 しかし、こんども誰もあげません。

 「ナーンでだ」。

 「それはね、それは、クマさんも、ウシさんも、ウマさんも、シカさんも、みんな手がなかったから・・・。前足だったから・・・」

 ここで、ウシさんが言いました。

 「ボク知ってるよ」

 「それはね、それは煮豆さ。それもね。山形県の港から取り寄せた豆さ」。

 金太郎さんは、大正解と手をたたきました。

 「そうさ、酒田(本当は坂田)の金時(豆)でーす」

 「それでは、メタルをウシさんにあげることにします。金・銀・銅と三個あるけどどれがいいかな。」

 決まっているでしょ。

 「それは、きんだろう」。

                      [「“お笑い”きんだろう」の一節] 

【余談】

 うけねぇー。かなりの力技だ。すっかり草臥れてしまったよ。このような時は、【余談】で挽回するきゃないな。それも、少々エッチな話でだ。

 以前から新婚のダンナが、新妻にして欲しい第1位の座を占めているのは、新妻になにも着ずに、エプロンだけ着けもらい、「お帰りー」とやって貰うことだそうだ。この光景をうたった都々逸がある。前に、ラジオでやっていたやつだ。月に一度、投稿者の優秀な作品を紹介する番組だ。愚生はかなり気に入っているやつだ。それではいくぜー。

 「裸にー エプロンだけえー着けてえー もらったが、どこおからあー 見てもおー 金太郎」トンシャン。

だって。「どうだ、ワイルロだろう」(舌が縺れてきちゃった)。とんだところで、金太郎が活躍していた。最近は、金太郎の腹掛けなどとんと見なくなたなー。みんな新婚さんに買い占められちゃたのかな。